フーゴ・ヴォルフ生誕150年の記念の年も、早暮れようとしています。ヴォルフといえば、フィッシャー=ディースカウに加え、シュヴァルツコップにも触れないわけにはいきません。
彼女の有名な言葉に、「リート(※)を聴く前と聴いた後では、その人の人生は変わっていなければならない」「私はヴォルフを歌うために生まれてきた」というのがあるそうです。目線がまるで違うのです。
(※)リート(lied)とはドイツ語で「歌曲」。なかでも芸術歌曲のことを指します。ドイツリートと呼ぶ場合もあります。ときにリードと表記されますが、ドイツ語では語尾の子音は通常は濁らないので、ローマ字読みではなくリートがより近い発音となります。ちなみに通常の「歌」はゲザング(gesang)。リートの複数形はリーダー(Lieder)となります。
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1993/10/20
- メディア: CD
数ある録音のうち、私が一番好きなのは『ゲーテ歌曲集』です。「ミニョン」の胸をかきむしるような憧れ。「ガニュメート」の空に昇っていく浮揚感。「アナクレオンの墓」の静寂。その他、硬質で透明なジェラルド・ムーアの伴奏も相まって、何度聴いても感動が溢れてきます。
ちなみに、Wikipediaのエリーザベト・シュヴァルツコップを執筆しているのはほとんど私です。元があまりにも寂しい記事だったので、ドイツ語版を翻訳して大幅に加筆しました。