フェスティバルホール(大阪・中之島)2700席
昭和33年から50年もの間、大阪、いや日本を代表するホールとして君臨してきました。例えば戦後のオペラ文化の隆盛に多大な影響をもたらしたNHKイタリア歌劇団の公演は、当ホールの存在が無かったらその影響力は半減していたことでしょう。戦後であっても「文化は上方から」だったのです。
ホール内に足を踏み入れた途端、何か別世界の空気が流れているような「格式」の高さを感じたことを今でも鮮明に思い出します。アマチュアの分際でそのようなホールで演奏できたこと自体がまず幸せでした。
2700もの席がありながら、2階席の奥までの距離が短く、お客様との一体感を感じることができましたが、それは演奏する側の我々にとっては恐怖でもありました。大阪のお客様は明らかに東京よりも耳が肥えています。労音のおかげもあるのでしょう。演奏中でも、演奏の良し悪しに敏感に反応しているのがステージまで伝わってくるのです。それだけに、演奏終了後にお客様から万雷の拍手を頂けたときの喜びはまた格別でもありました。
建て替え後のホールが、旧ホール同様、あるいはそれ以上の殿堂となることを祈っております。
後日記:2012年12月、新たなホールがオープンしました。期待通りの素晴らしいホールです。これからも日本を代表するホールとして君臨し続けるでしょう。