風信子忌 – 立原道造の命日(Echotamaのブログ)

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今日3月29日は立原道造の命日、風信子忌(ヒヤシンス-き)です。

まだ24歳の若き詩人・建築家は「不思議な四月」を目前にして、1939年(昭和14年)3月29日、病でこの世を去ったのです。まさに夭折の天才。まことに惜しいことです。

風信子忌の名の由来は、Wikipediaによると「ギリシャ神話のヒアシンサス伝説に心を寄せ、自らの詩集を風信子叢書と名付けていたことから」だそうです。今、我が家の庭では紫のヒヤシンスが咲いています。毎年必ず可憐な花を咲かせてくれるのです。

多くの作曲家が立原道造の詩に心を惹かれ、歌曲・合唱曲を作曲したくなるのも理解できます。これも大好きな詩です。

立原道造

うたふやうにゆつくりと‥‥

日なたには いつものやうに しづかな影が
まかい模様を編んでゐた 淡く しかしはつきりと
花びらと 枝と 梢と――何もかも……
すべては そして かなしげに うつら うつらしてゐた

私は待ちうけてゐた 一心に 私は
見つめてゐた 山の向うの また
山の向うの空をみたしてゐるきらきらする青を
ながされて行く浮雲を 煙を……

古い小川はまたうたつてゐた 小鳥も
たのしくさへづつてゐた きく人もゐないのに
風と風とはささやきかはしてゐた かすかな言葉を

ああ 不思議な四月よ! 私は 心もはりさけるほど
待ちうけてゐた 私の日々を優しくするひとを
私は 見つめてゐた……風と 影とを……



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