タイムスケジュールとは
チラシ印刷前に、まだ他にも決めておくべき重要な項目があります。開場時間・開演時間です。一度チラシを刷ったら変えられません。
ホールを予約する段階で、マチネー(昼間公演)かソワレ(夜間公演)かによって予約しておく時間帯が変わってきます。大抵のホールでは、午前・午後・夜間の三つの時間帯を設けて予約を受け付けます。融通がきくホールであれば、まずは全日予約してマチネーであれば夜間帯を後からキャンセル、ソワレであれば午前中を後からキャンセルし、ホール代金の節約を図ることもできます。もちろん、それだけの余裕があれば、の話ですが。
曲目決定に伴って、それが長大な時間を要する曲であった場合には、マチネーであれば開演時間を早めるか、夜間の予約もするか、いずれか判断しなければなりません。開演時間を早めるとピアノの調律やステージリハーサル(ステリハ)の時間が短くなりますので、実際に可能かどうか、ラフなタイムスケジュールを組んで確認する必要があります。十分なステリハ時間を要求する指導者もいますから、指導者への打診もときに必要になるでしょう。まずホールの定める「午後」の時間を確認しましょう。公式な完全退出時間はホールによって16:00、16:30、17:00と異なっていますが、時には担当者が「書類にはこう書いてあるけど、実質17:30に退出していればいいよ」と言ってくれる場合もあります。もちろんお互いの信頼関係があってこその話ですが。
開場前のタイムスケジュール策定が重要
調律はあらかじめ指定の業者に手配しておきますが、どんなに急いでも最低90分、普通は2時間必要になります。大概のホールは9:00きっかりからしか開けてくれませんので、それからの作業になります。ピアノ庫等で調律ができるのであれば、アカペラのステージがあれば、ピアノを使わずにステージ練習ができるので、ダブらせることで時間が有効に使える場合があります。ただし、ピアノ庫からステージへ移動させるとき、反響板のセットがやり直しになるホールが大半なので、その場合はステージ上で調律するしかなく、調律が済んでからステージリハーサル(ステリハ)をするしか選択肢がありません。
調律が終わったら、ピアノがあるステージの練習になります。この間、できる限り調律師の方には居残りしてもらいましょう(もちろん原則として追加料金が必要になりますが)。ステリハ中にも音は狂いますし、ピアニストからクレームがつく場合もあります。また、調律師の方が残っていないときに限って弦が切れたりするものです(本当。弦が切れることは想像以上によくあることなのです)。
ステリハは、最低でも一回通し演奏が可能な時間と、フォーメーションの確認のための時間が必要です。通しでどのくらいの時間が必要になるかは、あらかじめだいたいの時間を計っておかなければなりません。
開場時間については、開演時間の30分前(例:開場13:30、開演14:00)でチラシに載せておいて、実際はお客様の集まり方に応じて開場時間を10~20分早めるようにします。特に昨今の高齢化したお客様は余裕をみて開場時間をめがけていらっしゃる場合が多いですし、自由席の場合はなるべく良い席をとりたいので、公式に早い時間をアナウンスしてしまうと早い来場を煽ってしまうからです。開場前に並んだお客様は早く中に入りたくてやきもきしていますし、ホールによっては入り口前に十分なスペースがない場合もありますから、お待ちのお客様の列をきちんと冷静に整列させるのは大変な作業です。特に寒い冬や雨などの荒天の日は気分を害されるお客様もいらっしゃいます(「早く中に入れろー!」とクレームを言われたこともあります。周囲のお客様を含めて大変気まずい状況になるので、できるだけ避けなければなりません)。したがって、少なくとも開場20分前にはステリハが終わり、すみやかに開場前確認と開場ができるスケジュールになっている必要があります。
本番中のタイムスケジュール
本番のスケジュールは、曲間のカーテンコールと入退場を基本的に5分、着替えや楽器入替があればそれに必要な個別の時間を上乗せしておきましょう。
また、インターミッションは以前は15分でしたが、最近は20分が多くなりました。近年は年配の女性のお客様が多くなり、インターミッションにトイレをご利用になるケースが多くなっています。古いホールだと女子トイレが少なく、トイレに列ができたままインターミッションが終わってしまう可能性があり、フロントからの女子トイレOKサインをもらってから次のステージの開始となりますから、余裕を見ておく必要があります。
これらの条件でタイムスケジュールを作ってみて、開場時間・開演時間、ホールの利用時間を決めてください。なお、開場時間・開演時間は一度決めてチラシを刷ったらもう変えられませんが、その他のスケジュールや曲順等は変えることができますし、他にも様々な事情によって、タイムスケジュールは本番直前までブラッシュアップし続けることになります。