ステージリハーサル(ステリハ)でしなくてはならないこと
いよいよ本番当日です(前日に仕込みとステリハをする団体もあるでしょう)。
山台を組み、指揮台、譜面立て、ピアノ、ピアノ椅子の種類、譜めくり椅子、その他の楽器等々、ステージごとに必要な機材と大まかな置き場所を示す図面を作成して、重ねてバインダーにはさみます。
指揮者によっては「ベタ付きでOK(指揮台は無くてよい)」とか「指揮台は15cm(または30cm)」とか「この譜面台でこの高さが良い」とか、「傾きはこのくらい」で、とかいろいろ細かい注文があるものです。私は指揮者の人数分だけ譜面台を用意しています。失敗談としては、譜面台の傾きを調節するネジの締め付けがゆるんで、本番中に水平に傾いてしまったことがありました。そんなこともあって、譜面台は1回ガッチリ調整したらできるだけ触らないようにしているのです。
またピアニストは、椅子の高さはもちろん、タイプにこだわること(背もたれの有無など)も多々あります。私は譜面台と同じように、ピアニストの人数分の椅子を用意しています。時々、指揮者が指揮台に立ってからピアニストが椅子の高さを調整する姿を目にすることがあります。あまり勧められたものではありません。
また細かいことですが、譜めくり椅子が立って座るごとにギシッと音をたてたり(よく折り畳みのパイプ椅子で起こります)、ガタゴト音をたてたりするケースがありました。盲点なのでご注意を。必ず実際に座ってみたほうがいいです。
バミリ
ピアノ、細かい機材の位置や合唱団員の位置決めをしたら、本番のステージの幕間に次のステージのセッティングができるように、その場所を記録するためのバミリ※のテープを貼ります。あらかじめテープは5cmくらいに切って、バインダーの裏などに貼り付けて大量に準備しておきます。100円ショップやホームセンターで容易に入手できる絶縁用のビニールテープで十分です。むしろ100円ショップの安いテープが粘着力が弱くて後からはがしやすいです(笑)。
※「バミリ」の語源は不明ですが「場を見る」から派生したのではないかと想像しています。
テープはステージごとに色を変えておきます。時には注意をメモ書きしておきたくなる場合もありますので、バミリ上に直接書ける油性マジックを用意しておくと便利です。
(10) 山台とフォーメーション(並び方)で述べた山台の前後の位置について、山台の前寄りに立つか、後ろ寄りで立つかで微調整は可能です。一部のステージだけで指揮者から指示が出る場合もあります(『もっと前よりに立ってみて!』など)。そのとき、バミリテープは自分の重心の下に貼るようにして、前後の位置関係がわかるようにしておきましょう。
ただし、前に出すぎて、つま先が山台をはみ出してしまうと、つま先の影がくっきりと山台に写ってしまう(客席からはよく見えるのです)ので、つま先が出ない範囲で調整するように団員に注意しましょう。
入退場の方法
特に大人数の場合は、ステリハで入退場の練習をすることもあります。昔は幕間ごとに緞帳を上下させ、緞帳が下がっている間にその場で次のステージのフォーメーションをしたものですが、この習慣は男声合唱の一部にしか無いらしく、最近はステージ毎に入退場をするケースが大半になりました。
入退場は列毎に並んで行進していくことになるわけですが、以前、ヨーロッパで演奏旅行をしたときに「行進して入退場するのはナチスを想起させるのでNG」と言われ、オーケストラのように三々五々オンステするようにしたことがあります。日本の合唱団の中には、一糸乱れぬ行進で入退場するように指示し、誰の行進がきれいだの汚いのとこだわる方がいますが、私はヨーロッパの一件以来、むしろルーズに入退場したほうが良いような気がして、「入退場の巧拙」にはあえてこだわらないようにしています。