(2) 予算作成(Echotamaのブログ)

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予算作成とは

 ホールを決めるのと並行して、概算の予算を立てていきます。支出項目としては、主に以下のものが挙げられます。

●会場費……ホールそのものの使用料はもちろんのこと、楽屋などの部屋、ピアノ等の付帯設備使用料や、ピアノ調律代などが必要となります。ホールの利用料の5割増し~2倍くらいの費用を追加して当日請求されるホールが多いので、事前に概算費用を確認したうえで、あらかじめ現金を用意しておいて下さい。正式な金額は当日の終演前あたりでホール側から連絡があります。

●出演者謝礼……指揮者や伴奏者、ヴォイストレーナーの先生等への謝礼です。

●印刷代……チラシ、パンフレット、チケット等の印刷代です。業者によって驚くほどの値段の差があるので、何社か見積もりをとってみるとよろしいかと思います。

●著作権料……演奏に利用することに対して著作権料の支払いが発生します。また、パンフレットに歌詞掲載をする場合にも著作権料がかかります。なお、楽曲によってはある一定条件下では演奏禁止をしていたり、歌詞の掲載を承諾しないケースもあります(特に外国曲には注意)ので、きちんとJASRAC(日本音楽著作権協会)に早めに話をしながら進めて下さい。なお、アマチュアであれば著作権料の対象にならないと思っている方が時々いますが誤りです。ご注意ください。

●チケット発券費……全席自由の場合は同じものを印刷すれば事足りますが、指定席を用意する場合はチケットに席の番号を漏れなく記入することとなります。自前で対応することも不可能ではありませんが、大変な手間が掛かりますので、「チケットぴあ」「カンフェティ」等でのチケット印刷サービスを利用されることを予算化しておくことをお勧めします。いずれ一般売りで「チケットぴあ」「カンフェティ」等は利用することになり手数料の精算が発生するでしょうから、一緒に手続きをすると便利です。

●会議費・交通費・通信費……チリも積もれば何とやらで、結構かかるお金です。マネージャーの自腹にならないように、予算を確保しておいてあげましょう。

●お手伝い要員への謝礼……フロント、ステージ、楽屋で働いてくれる手伝い者への謝礼です。影アナや譜めくりも含まれます。友誼団体同士であれば「お互い様」として謝礼なしとする場合もあるでしょう。

マスマーケティングへの期待は禁物

 前項で支出の項目について説明しましたが、アマチュア合唱団の場合は、よほどの知名度があって、チラシ挟みを手広くやった団体でも、ポスターやチラシに誘引されて買っていただけるチケットはせいぜい数十枚程度です。マスマーケティングは先行投資と考える以外は無意味でしょう。すなわち、費用を埋め合わせる収入の大半は団員からの徴収に頼らざるをえません。そこで団員には「チケット負担」あるいは「参加費」をお願いすることになります。そこで割り当てられたチケットをきちんと集客に結びつけるのは全ての団員の大切な役割です。入場者数の多寡は団員が割り当てられたチケットをどれだけお客様に配るかに尽きます。

団員のチケット負担の考え方

 全て指定席の場合は、発券できるチケット枚数=各団員の負担枚数ですので、仮に1000席のキャパシティで団員が40人の場合、一般売り・招待や友誼団体分が仮に80枚あったとして、単純計算で一人当たり920÷40=23枚のチケットを負担していただくことになります。予算全体が120万円だった場合、一人当たりのチケット負担額は30000円、チケット1枚あたりの平均負担額は約1300円になります。この金額をクリアできるように配布枚数を調整します。例えばS席2000円×10枚、A席1500円×5枚、B席1000円×8枚とし、全て定価で売る努力をすれば売り上げは35500円になります。

 自由席の場合は、キャパシティを超えた発券をするべきです。その理由の一番目は、各団員に配布したチケットがお客様に配られず死蔵されてしまう可能性があること、二番目はチケットを渡されたお客様が全員来場されるわけではない、つまり歩留まりは100%にはならないことです。

 団体によって千差万別だと思いますが、上記の前者については50~80%。後者については70~85%がせいぜいというところではないでしょうか。仮に前者が70%、後者が80%だった場合、700席(1000席のホールでほぼ満員に見える人数)を埋めるには、1250枚発券しても良いことになります。団員が40人であれば一人当たり約31枚です。予算全体が120万円だとすれば一人当たりの負担額は30000円。1枚あたりの原価は960円、仮にチケット1枚額面1500円とすると、定価で全部売った団員は16740円の利益が出ることになります。

 実際のところはこんなにスムーズには行かず、タダでのばら撒きを含め相当がんばってチケットを配らないといけないのが実情ですが…。

独立採算にすべき項目もあります

 チケット負担のほかに、以下の項目の支出については、団員全員が必要とは限らない等の理由から、受益者負担として独立採算とするのが望ましいと思います。

●DVD/CD……注文者が少ないと単価がベラボーになるので、なるべく拡販できるように誘導していきましょう。なお、DVD/CDにも著作権が関係してきますので、業者の方に手続きをお願いしておきます。間違って認識している方が多いのですが、非営利であっても著作権料の対象になりますし、業者を使わず団員自身がコピーを作成して頒布したとしても同様に著作権料が発生します。

●楽譜……ステージに乗ろうか迷っている団員が、楽譜を見てから決めるとか、練習してみてから決めるとか、途中でリタイアする場合があります。楽譜購入者>演奏会参加者となりますので、途中で断念した団員にも相応の負担をしていただくために、別会計の方がよろしいかと思います。

●弁当・飲み物……アレルギーや糖尿病等、持病等の諸事情で、弁当を自前で持参する方がいる場合には、独立採算にしておくことが良いと思います。なお、弁当業者に対しては、当日夕方までに弁当ガラを引き取りに来てもらうことも含めて契約しておきましょう。そのとき弁当ガラが楽屋内に残らないように、廊下等に置いたダンボール箱にきれいに戻しておきましょう。ホール側は「主催者が持ち込んだものは全て持ち帰り」が原則ですから、弁当やペットボトルを楽屋内に残したり、ホール側のゴミ箱等に捨てることが無いように細心の注意を払ってください。特に、弁当には気を使っていても、お茶等のペットボトルには無頓着な場合が見られますので、「ホールのゴミ箱は使用するな」と徹底することが必要です。楽屋毎に責任者を配置して、徹底させるくらいの厳しさが必要だと思います。(弁当については「(9) 弁当(Echotamaのブログ) 」で詳述します)

●レセプション/打ち上げ……ホール近隣のホテル等で開催します。ご家族も一緒だったりするケースや、打ち上げに出席せずに帰る団員がいたりしますので、別会計が望ましいです。金額が一人数千円で、合計額はかなりの額になりますから、当日にチケット販売が集中すると混乱の元です。早めにチケットを準備して団員への販売を終了しておくことをお勧めします。なお、ホールによっては、ホール内部の会議室等でのケータリング利用が可能で、移動の手間が省け、価格も手頃で済ませられるところもあります(品川区の「きゅりあん」江東区の「ティアラこうとう」等)。(レセプション/打ち上げについては「(20) レセプション/打ち上げ(Echotamaのブログ)」で詳述します)