当日売りとは
当日売りは、ホール大扉の横に水槽のような窓が設けられているホールが多いです。業界用語で「金魚鉢」。
早めにお買い求めに来るお客様がいるので、最低開場の30分前、出来れば1時間前には販売を開始したいところです。ホール事務局側にも「当日券は何時から発売しますか?」という問い合わせが来ることが多いので、あらかじめ開始時刻を決めておきホール側に伝えておく必要があります。ホールとの事前打合せ(①その4参照)のときにたいてい聞かれるとは思いますが。
指定券の有無によって、仕事の難易度が大きく変わります。指定券を扱うのであれば最低2人は必要です。
指定券であれば、残券を団員、チケットぴあなどのチケットビューロー、プレイガイド等からもれなく回収し、決められた時刻までに座席表に蛍光ペン等で全てマークしておいてから販売に臨みます。
<用意するもの>
残券、座席表(マーク済み)、つり銭、電卓、集計用紙、お客様との受け渡し用トレイ(小)、作業用トレイ(大)、輪ゴム(少々)、封筒、蛍光ペン(当日券にまわした返券の分を新たにマークするため)、ペン(集計用)、サインペン(座席表の販売済席を塗りつぶすため)
当日売りは販売するだけが仕事じゃない
当日売りは、ただ販売するだけでなく、「チケットが余ったので返金して」「もっと良い席があれば変えたい」等、いろいろな要請がきます。
私の考えとしては、「余ったから返金」という要望についてはお断りし、権利放棄(返券)のみをお願いしています。たいていの団体では、チケット負担と参加費と引き換えに各団員にチケットを渡しているはずですので、ここで返金を認めると、結果的にチケット負担の抜け道が出来てしまうことになります。したがって「権利放棄分とさせていただきます」とニッコリ笑ってチケット回収のみさせていただき、それを当日券に追加して販売します。
返金以外の要望は基本的に承ることにしています。たとえばA席をS席に代えたい(もちろん差額はいただきます)、などは大歓迎です。
全席自由であれば、座席のマーキングの必要はありませんし、お客様の要望も複雑ではないので、一人もいれば十分だと思います。ただし、現金を扱う部署なので一人だとトイレにも行けなくなってしまいますから、フロントチーフ等が気遣って、時には代わってあげることが必要です。
当日売りは現金管理の責任者
当日売りの担当者には、フロント(ロビー)で取り扱う現金の会計とりまとめ担当者もお願いしています。つり銭も、あらかじめ会計担当が当日売りの担当者に預けて、他の部署で足りなくなったら当日売りから分けてもらうようにします。当日売りのほうで、どの部署にいくら渡したのか、一括して記録しておきます。
当日売りの場所は水槽のような小部屋になっていることが多く、内鍵もあるところが多いので、現金を扱う上では最も安全な場所といえます。また、開演後は当日券を売る機会が減りますので、仕事量のバランスを取る上でも最適だと思います。
フロントでの販売や当日預かり精算との連携については④と⑧で詳述します。
指定席ではお客様へのコンサルティングも必要
当日売りが多く出るのは喜ばしいことではあるのですが、お客様を屋外で順番待ちさせる時間は最小限にしたいものです。
自由席であれば機械的に進んでいくので悩む必要は無いのですが、指定席の場合は、どのあたりの席が良いのか迷い始めて長時間を費やすお客様も散見されます。他にも待っているお客様が並んでいる場合には、「このホールは2階席のほうが音がいいですよ」とか「出演されるお知り合いのパートはどちらですか…BASSなら、上手側の席をお取りしましょう」とか、積極的に提案していけば、後ろで待たされているお客様の納得感も向上することでしょう。