今日は立秋。まだ暑いとはいえ、当地(八王子)では昨日までほどの暑さではありませんでした。また今年も秋が帰ってきます。昨年までの思い出とともに、そして忘れてしまったこととともに。
やがて秋……
立原道造
やがて 秋が 来るだらう
夕ぐれが親しげに僕らにはなしかけ
樹木が老いた人たちの身ぶりのやうに
あらはなかげをくらく夜の方に投げ
すべてが不確かにゆらいでゐる
かへつてしづかなあさい吐息のやうに……
(昨日でないばかりに それは明日)と
僕らのおもひは ささやきかはすであらう
――秋が かうして かへつて来た
さうして 秋がまた たたずむ と
ゆるしを乞ふ人のやうに……
やがて忘れなかつたことのかたみに
しかし かたみなく 過ぎて行くであらう
秋は……さうして……ふたたびある夕ぐれに――
この詩にも三善晃先生が作曲しており、「こどものための合唱曲集『光のとおりみち』」に所収されています。メロディーが美しく、後半への盛り上がりが感動的な曲です。小学校高学年から中学生のために編まれた曲集とのことですが、この曲は中学生では難しいように思えてなりません。
立原-三善コンビのファンの方は多いと思うのですが、残念ながら音源は見つけられませんでした。