もぎりとは(パンフレット渡しもセットでご説明します)
「もぎり」というのは、チケットの半券を手でちぎって切り離す作業です。動詞形だと「もぎる」。入場者数を単純に把握することはもちろん、半券の部分に何らかの管理番号等を仕込んでおくことにより、入場者者の分析をすることも可能になります。もちろん「招待券」の表示をしておくことも、後日の招待者の歩留まりの分析には不可欠です。
こじんまりした家族的な演奏会であれば、もぎりとパンフレット渡しは、同一人物で可能かと思いますが、数百人以上の入場者がいる演奏会であれば、もぎりとパンフレット渡しは別々にしたほうが良いでしょう。私の感触で言えば、500人ごとに1列必要という感じでしょうか。例えば、1200名程度の入場者が見込まれるのであれば、入場は3列、配置人員はもぎり・パンフレット渡しそれぞれ3名で、計6名を配置するということになります。
なお、もぎり、パンフレット渡しについては、座付きの要員を準備しているホールもいくつか見られます(東京文化会館、東京芸術劇場、すみだトリフォニーホール、紀尾井ホールなど)。そろいの制服で「いらっしゃいませ」「ごゆっくりお楽しみください」と、にこやかに笑って声をかけられると、演奏会のグレードが一段上がったように思えてきます。正直なところ、アルバイトの学生だと向き・不向きがありますし、ワイシャツがヨレヨレだったりしますので、座付きで用意してもらえるのは演奏会の雰囲気を高める上でありがたいことです。ただし、もちろんその分ホールの使用料は高くなります。
※2021年付記:コロナ渦のため、入場時検温、消毒、マスクチェック、お客様自身によるもぎり(半券は箱に投入していただき回収)、パンフレット・チラシ配布なし(自主的に持って行っていただく)に大きく様相が変わりました。このままの状況が続くのかどうか不明ですが、本項目の内容がかなり異なっていることはご容赦ください。
招待者の入場手順
もぎりの際に、招待者ハガキをお持ちのお客様がいらっしゃった場合には、「恐れ入りますが招待者受付で入場券と交換をお願いいたします」と丁寧にご案内します。この場合、招待者受付で交換後、再度入場者の列の最後尾に並ぶことになれば、いくら招待者席を確保しているといっても招待者を長々と並ばせることになるので、入場券との交換後すぐに入場させてあげる等、招待者受付で配慮をすべきだと考えます。
もぎりの際に、招待券の方に対しては、「1F中央部分にご招待席がございます」などと声をかけ、場内整理へ引き継ぎます。後から「招待席があったなんてわからなかった」とは言われないように…。
2022年付記:上記の招待者ハガキによる招待者受付でのチケット直接交換は、実質不可能になっています。詳細は「③招待者受付(Echotamaのブログ) 」をご覧ください。
あるべき動き方の実際
お客様への印象度が最も高い部署ですので、お客様を歓迎するという気持ちを前面に出して、もぎり・パンフ渡しともに「いらっしゃいませ」とにこやかに対応するように心がけてください。
再入場は半券を確認するので、一時退出のお客様には「一時退出されるお客様は、お持ちの半券を提示して再度ご入場ください」必ず一声かけます。
開演後は1~2名に体制を縮小し、半券を集計します。その後手が空いた者は他のセクションにまわります。例えば、花束受付は開演後に楽屋持込を行うので、それを手伝うのが良いでしょう。半券の数はインターミッション後に一度まとめてフロントチーフに報告し、当日売りからつり銭をもらってレセプション会場の受付に向かっていただくケースが多いです。その後ご来場いただいたお客様はチーフの側で手集計で対応します。
チラシ挟み
パンフレットへの他団体のチラシ挟みを余裕を持ってできるかどうかが、フロント業務のなかで非常に大きなウェイトを占めます。
まず、集合時間ですが、仮に開場が13:30だったとしても、余裕を持って10:00までにチラシ到着または持参としています。条件がきついとか、早すぎるとかお思いの方もおられるかと思いますが、過去の苦い経験に基づいておりますので、ご理解いただきたいと思います。ときに「届いているはずのチラシが無い、足りない」とか「チラシを持ってくるはずの人が到着しない」とか、チラシ挟みの作業がある程度進んだ段階で当日飛び入りのチラシが突然届くとか……。まあいろいろあります。
ホールにチラシを事前送付する場合には、ホールによって前日指定だったりなどルールがありますので、必ずホールに問い合わせて指示に従って下さい。また、チラシの梱包すべてに「○月X日△△合唱団コンサートで使用」と使用日と演奏会名を必ず記入することも重要です。この辺で手を抜くとチラシが行方不明になるわけです。また、ホールによっては事前送付を一切認めず当日持込のみ、あるいは当日午前到着のみとしているところがありますので、パンフレットの納品についても注意が必要です。
私がフロントマネをするときには、外部団体チラシ1枚あたりチラシ挟みの手伝い要員を1名ずつ派遣していただいています。
どの順番でチラシを挟むかも結構大事です。一番簡単なのは演奏会の日が近い順に並べてしまうことです。ただ、お世話になっている指導者関係の演奏会とか、友誼団体とか、目立たせたいものを上に持ってくることはよくあります。また、手伝い要員の派遣をしてくれなかった団体のチラシは一番下にしてしまうこともあります。ゴメンナサイ。
チラシ挟みが進んでいくと、次第に足りなくなるチラシが出てきます。チラシが欠けたものについては「1抜け」(1枚足りない)、「2抜け」(2枚足りない)、その他(3枚以上足りない)として分けて管理し、「完全版」から順に配れるよう優先順位をつけておきます。
また、パンフレットは楽屋の指導者や出演者にも配られます。マネージャーによって考え方は異なりますが、チラシ挟みを要望される外部団体は、聴きに来られるお客様にお知らせしたいだけでなく、出演者にも知らせたいという意図を持っていることがあります。また、指導者関係の演奏会であれば、チラシが挟まれていないと不安に思われることもありそうです。したがって、私は楽屋で配る指導者・出演者用のパンフレットは全てのチラシが入った完全版を配るようにしています。