室内合唱団日唱第37回定期演奏会(いきっつぁんの演奏会探訪)

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【2022年12月13日豊洲文化センター】13日(火)夜は豊洲シビックセンターに移動して、室内合唱団日唱の第37回定期演奏会。少人数でツェルニーによる4手ピアノ版のモーツァルト「レクイエム」を演奏するというのが楽しみだった。

前半は日本人作曲家によるラテン語の宗教曲で、松下耕「Cantate Domino in B♭-Psalm96」佐藤賢太郎「Kyrie,Agnus Dei,Ave Maria」、塚田真理「AveMaria」、千原英喜「Assumpta est Maria,Cantate Domino」。これだけの作品をまとめて聴ける機会もなかなかない。美しい和音名酔いしれている間にあっという間に終わってしまった。

後半の「レクイエム」は、管弦楽ならば滑らかに始まるところ、音が減衰せざるを得ないピアノの音に違和感があったが、次第に慣れていった。ソリストもメンバーが務められるのがプロ合唱団の強みだが、テノールとアルトのソロが特に充実していた。この曲の為かいつもの日唱より客席は埋まっていて人気の高さをうかがわせるが、全曲仕上げたわけではないこの曲が「モーツァルトの最高傑作」と扱われるのには違和感があって、中でも名曲とされる「Lacrimosa」は8小節しか書いていないし、この曲のAmenがわずか二つの和音で終わってしまう点は一番モーツァルトらしくない所。ほかのモーツァルト作品ではAmen一言を5回も10回も繰り返して盛り上げているのに、この曲に限って別の考えだったとは思えない。実際この部分はジュスマイヤーが最後に時間に追われて書き上げたともいわれる。

そんな違和感に答えるように、今年出版されたばかりというオシュトリーガ版のLacrimosaを演奏してくれたのはこの日最大の収穫。レビン版でもアーメンはフーガに仕立てられていたのだが、この版はよりモーツァルトの手法に近いように感じた。ラクリモーサの組み立ても大幅に変わっていたが、私がいつも感じる違和感は大幅に解消されていると感じた。

モーツァルトはヘンデルのメサイアに傾倒して自らドイツ語版を編曲までしている。レクイエムのキリエの旋律はメサイアの26番の音型そのままだ。有名なハレルヤはモーツァルトも若い頃に作曲してしているがヘンデルのアーメンコーラスのフーガはとても壮大で、モーツァルトが刺激されてそれを上回るような壮大なアーメンフーガを考えないはずはないと思う。たった2つの和音で終えることなど念頭になかったに違いないと思う。オシュトリーガ版には大いに同意したい。

出演は、指揮 仲舘伸一、ピアノ 松元博志・大橋響子、ソリストはS 片山沙緒里、A 佐藤智子、T 坂口義行、B 大塚雅仁の皆さん。

いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。