グスタフ・マーラーの歌曲を無性に聴きたくなりました。
数々の長大な交響曲や、「さすらう若人の歌」のような激情もマーラーならではですが、孤独や寂寥もまぎれもないマーラーの世界です。
今日はリュッケルト歌曲集から、Ich bin der Welt abhanden gekommen(私は世間から見捨てられた)を手に取りました。数々の名演奏がありますが、今日はイギリスの名メゾソプラノであるデイム・ジャネット・ベイカーの歌唱で。マーラー歌いとして定評があります。ドイツ人でなければドイツリートを歌えないというわけではありません。歌曲の素晴らしい世界。心に深く沁みてきます。
Ich bin der Welt abhanden gekommen,
Mit der ich sonst viele Zeit verdorben,
Sie hat so lange nichts von mir vernommen,
Sie mag wohl glauben,ich sei gestorben!
Es ist mir auch gar nichts daran gelegen,
Ob sie mich für gestorben hält,
Ich kann auch gar nichts sagen dagegen,
Denn wirklich bin ich gestorben der Welt.
Ich bin gestorben dem Weltgetümmel,
Und ruh’ in einem stillen Gebiet!
Ich leb’ allein in meinem Himmel,
In meinem Lieben,in meinem Lied!
私は世間から見捨てられた
私は世間と何度も過ごしてきたが
世間では長い間私のことを何も耳にはしていない
私が死んだとでも思っているのだろう!
でも、そんなことはどうでもいい
私が死んでしまったかどうかということなど
また、それに対して何も言うこともできない
なぜなら、私は本当に世間に対して死んでしまったからだ
私は俗世に対して死んで
そして静かな場所で休んでいる!
私は一人で自分の天国で、
自分の愛の中で、自分の歌の中で生きている!
(拙訳)