【2022年11月23日小金井宮地楽器ホール大ホール】浦安を合唱団の退場を待って早々に引き上げて小金井宮地楽器ホールへ。東京を横断しての大移動で一時間強の行程。
こちらは、くにたち混声合唱団ときわの第44回定期演奏会。前回聴いたのは2015年だったから7年ぶり。前回の年はレクイエム・プロジェクト東京2015の年で、この団からも何人か参加していただいたご縁だった。今回も1ステが上田益さんの作品ステージで、ご招待いただいた。ご他聞に洩れずコロナ禍の影響でオンステできない方もあったらしい。しかしハーモニーは驚くほどよくなっていてバランスも悪くない。強いて言えばベースがもう少し響いてくれればよりインパクトがあったと思う。
1ステの上田作品は「とうさんの海」「碧の子守唄」「樹憶」「大切なふるさと」「祈りの朝に(遥かなる海へより)」の5曲。いずれも歌ってきた曲だが「樹憶」は久しぶり。思わず作詞者で2015年にソロをしてくれた北川達也さんの事を思い出した。阪神淡路大震災の時小学生だった彼が何もできなかった自分を思い出して書いたということを思って目頭が熱くなった。
2ステは打って変わってモーツァルトで「Kyrie in F KV33」「Kyrie in d KV90」「Sancta Maria, mater Dei KV273」「Agnus Dei」(レクイエムより)。レクイエムのAgnus Deiはジスマイヤーの作曲ということが確定しているので、モーツァルトとして取り上げるのには違和感があるが、あまり野暮は言わない。Sancta Mariaはレクイエム・プロジェクトのウィーン公演で歌った曲で懐かしかった。全体によく歌い込まれていてハーモニーも安定していた。伴奏の電子オルガンが打楽器の音まで再現していてオーケストラと共演しているかのよう。素晴らしい演奏効果だった。
3ステは「楽しい合唱」として前半は名曲シリーズ。聞き覚えのある曲ばかりを合唱にした楽しいステージ。次いで「さとうきび畑」の全曲をウクライナへの思いを込めての演奏。さらに「忘れな草をあなたに」「いのちの歌」「この空よ いつまでも」を思いを込めての演奏。最後は「群青」を熱唱して終演。
演奏会を貫く精神は平和への想いといのちの貴さ。ウクライナ戦争の下でも我々ができることは限られていて、考え続けること、関心を持ってニュースを聴き続けることしかできない。合唱団としてはせめてその思いを歌い続けるしかないのだと思う。その思いが広がり続ければ、と願ってやまない。
出演は、指揮 木野村雅子、ピアノ 八谷惠子、電子オルガン 橘光一の皆さん。
いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。