もし「一番好きな歌手は?」と聞かれたら、私は「ハンス・ホッター」を挙げるでしょう。
ワーグナー歌いとしてのホッターは当然のことながら天下一品ですが、歌曲でも素晴らしい録音を残してくれました。数ある中でも、シューベルト『冬の旅』のあまりにも孤独で寂寞とした独白は、他の歌手が薄っぺらに小賢しく聞えてくるほどです。EMIのスタジオ録音版(1942年版、1959年版の2種類あり)と、ソニーの日本でのライヴ録音版の3種類が手に入りますが、いずれも味がある名演だと思います。
また、ヴォルフ&レーヴェの素晴らしいCDが出ていますが、その中でも『ミケランジェロの詩による三つの歌曲』は、もはや大彫刻家ミケランジェロと一つの存在となって、人間の存在の矮小さと、生きることの素晴らしさをともに歌い上げています。歴史に残る名盤だと思います。
- アーティスト: シューベルト,ムーア(ジェラルド)
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 1997/11/19
- メディア: CD
- アーティスト: シューベルト,ドコウピル(ハンス)
- 出版社/メーカー: ソニーレコード
- 発売日: 1997/06/21
- メディア: CD
- アーティスト: ヴォルフ,レーヴェ,ゲーテ,リュッケルト,シュライバー,ムーア(ジェラルド)
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2000/09/27
- メディア: CD
ハンス・ホッターのWikipediaも私がドイツ語版から翻訳して大幅に加筆しております。