日銀のサプライズ利上げに驚愕、今後はどうなる?(Echotamaのブログ)

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一応経済学部卒として(家族にはワグネル学部卒と言われていますが)気になったので、またまた長文失礼します。

日銀が利上げと国債の買い入れ減額を決定しました。びっくりしました。拙速ではないでしょうか。本来、日銀は政治的に中立を求められ、かつ外為は財務省の所掌のはずですが、日銀における対米の金利差が円安インフレの元凶として矢面に立たされる中で、圧力により動かざるを得なかったように思います。

確かに円安基調を改めるには一定の効果があるとは思います。しかし反作用も忘れてはいけません。金融緩和を見直すということは「金融引き締め」ですが、あえて「引き締め」という言葉はマスコミでは封印されているようです。そして予測金利を上げるために、植田総裁は「まだ上げる余地はある」という雰囲気を醸し出したそうです。

1.景気の腰折れの懸念

利上げは景気を冷やす効果があります。植田日銀総裁は記者会見で「消費がすごい強いというわけではないが、底堅いと判断している。利上げと言っても、金利の水準は実質金利で見れば非常に低い水準。景気に大きなマイナスの影響を与えるものではない」と述べました。本当でしょうか。これまで日銀は「物価上昇目標である2%が安定的に達成されれば金利を上げる」としてきました。消費者物価指数(コアコアCPI)は昨年7月に約4%を記録した後、今年5月の2.1%まで低下を続け、6月に2.2%に持ち直したものの、今後目標の2%を割り込む勢いが疑われるところです。普段買い物をしているときの価格は値上げが目立ってしまいますが、マクロでみれば物価上昇率はもっと低く、再びデフレに向かっている懸念があり、需要が底堅いとは言えないのではないでしょうか。実感としても、高級品が飛ぶように売れていく景気の良さは、どなたもお持ちではないでしょう。すなわち今の日本のインフレはコストプッシュ型(生活必需品などの最低限の需要において高い価格でも買わざるを得ない状態)であり、アメリカのようなデマンドプル型(好景気での需要超過)とは違うのです。しかも金利が上がれば住宅や車のローンのように、短期金利が影響する財への需要は冷え込まざるを得ないでしょう。さらには、現在は実質賃金が26か月連続でのマイナスであり、今年の中小企業の賃上げや、来年の春の賃上げなどは見通せていません。

2.貯蓄への影響

家計目線で考えてみます。まずは「金利のある世界が帰ってきた」ことにより、元本が保証されている定期預金の利率が上がることが期待できます。しかし金利が0.15%上がったところで、消費者物価指数2.2%にはとても追いつかず、預けるだけ価値が目減りしていく状況は変わりません。利ザヤで儲かるのは銀行だけです。(関係者の方ごめんなさい)

3.株式市場への影響

貯蓄分を日本株で運用している方は、昔とは異なり、現地生産が増え、一概に円安が企業業績の向上をもたらすということではありませんが、やはり輸入関連企業よりも輸出関連企業の方が影響が大きく、現に本日1日だけでも1000円を超える株安となっています。日本株を中心に新NISAなどで投資をしている方は、新NISA開始後に損を抱えているケースも多いでしょう。それが長期化する恐れがあります。

4.ゾンビ企業の淘汰

金融引き締めにより、更なる需要減と運転資金の利上げに直面すると、「借金の利払いを利益で賄えていない」企業が次々と破綻していきます。こういう状態(清算主義)をあえて支持する経営者は多いですが、利上げによる生産性向上(これを「非ケインズ効果」というらしいですが)を達成した国を私は寡聞にして知りません。スウェーデンとデンマークで成功したという説もありますが、私は怪しいと思っています。仮にゾンビ企業が淘汰されたとして、一時は必ずその企業に勤務していた雇用者は失業します。それを「一時の痛みとして断行する」と自民党のI破さんは仰っていたのですが、本当に日本経済は発展していくのでしょうか。

まとめると、今回の利上げは、まだマーケットの動向を見据えるところまで行っておらず「所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まる」という証拠もない状態であり、拙速な政治的な判断をしたと思わざるを得ません。経済成長にプラスになることを祈りますが、近いうちに利上げと利下げの双方に挟まれ、いずれ日銀がまた矢面に立たされるでしょう。私はまた利下げと国債買い入れを増額せざるを得ない状況に引き戻されるように思いますが、いかがでしょうか。

…で、金曜日は株価史上2番目の2千円の下げ。

為替に正解はありませんが、日米の金利差が縮まっていく傾向にはなっているものの、現にまだ金利差はあります。また、日本の景気が「底堅い(by植田総裁)」のであれば、アメリカの景気はもっと「底堅い」わけで、円高に振れればまだドル買いの圧力がかかる(円安に戻す力がかかる)状況だと私は思っています。

それより、事前リークの地ならし無しでサプライズの利上げをするのは適当だったのでしょうか。株式市場のパニック売りは、この利上げに誘発された感があります。円高で日本が株安になる苦しみは、一昔前の円高時代に思い知ったはずでは?

あ、もちろん私の勝手な見解ですので、このコメントを真に受けませんように。

N氏:橋本五郎氏が「岸田文雄再選のための」と解説、炎上している。アベノミクス以来、日銀を政権のおもちゃにした結果かな。河野太郎の17日海外メディア会見を英語で行ったため、あっという間に広まり、急激な円高、未曾有の株式市場急落を招いた。

中央銀行は独立していない、を晒してしまっていますね。

私:私は黒田前総裁を支持しておりました。3回もの消費増税が行なわれましたが、財務省の増税の圧力に対し、官邸の協力がなければ、デフレはもっとひどいことになっていたと思います。

今回はご指摘のとおり政治的中立に疑義があります。「金融政策の正常化」「異常な円安によるインフレの是正」などと迫る官邸に従い、利上げを急ぎました。そして円高になり、株価は下がりました。経済学の基本通りです。官邸周辺は、自分たちの言っていたことがどういう結果になるか、よく判ったのではないでしょうか?いや、判っていないかも……

尤も、アメリカ経済減速の観測が流れるのと、タイミングが一緒になるとは思いませんでした。これほどの株安は想定外です。これでアメリカが利下げをしようものなら、さらに円高になり、株安と不景気とデフレのトリプルパンチです。私は黒田バズーカの再発動を期待しております。

N氏:この過去最大の株式下落、急上昇は何を意味するのでしょうか? ヘッジファンドが強烈なレバレッジで仕組んだのか、仕組債が関係しているのか? GPIFが慌てて買ったのか?

リフレ派浜田宏一氏は2023年トリクルダウンは起きずアベノミクスは失敗だった、とインタビューに応じています。同じくリフレ派で黒田東彦氏は2%を狙い結果として莫大な国債を溜め込みGPIFが筆頭株主の企業が続出です。直感で毒饅頭を食らっている、ように懸念します。しかも年金を使って。戦中の年金は返す意思なく戦費に費消する意図で企画され、今もまた、です。TBと株式で積み立てた個人に正常に還元されるのか心配です。デフレ脱却と2%インフレ→個人の賃金上昇は、道半ばですね。

私:株式の乱高下の理由については、そもそも利上げは株価を下げる効果があること、発表がサプライズだったこと、米国の株価下落に連動したことなどが挙げられますが、これだけで説明できるとは思えず、私は「わからない」と言わざるを得ません。

浜田宏一氏の2023年のインタビューは私も把握しております。「トリクルダウンは起きなかった」としていますが、株価の上昇や失業者の減少など良い効果もあり、私はアベノミクス自体が失敗したとは考えておりません。もしも金融緩和をしなかったら、相変わらず「構造改革」の不毛な議論をさらに10年間していたことでしょう。ただし残念なのは賃金の上昇が起こらなかったことです。考えられる理由の一つとして、お金はジャブジャブに増やしても実際の貨幣数量がそれほど上がっていないことから、貨幣の流通速度が下がっていることが挙げられます。企業が人件費を単なるコストと考え、内部留保を増やし人的投資を怠ったことが第一でしょう。また、労働者も、デフレが身についてしまっていることと、将来の不透明さにより、節約志向で流動性選好からタンス預金や普通預金を増やしています。そして決定打は3回にわたる消費税導入です。今や歳入の一番手が消費税です。まるで極寒の地で窓を開きながら煖房をしているようなものです。このような状況下では企業から労働者への恩恵が届かず、需要は伸びず、デフレ脱却ができなかったのは当然だと思うのです。

ところで私が不勉強なのでしょうが、GPIFは固定バランスで運用をしていますから、国債での運用が増えると逆に株式での運用割合は減るのではないでしょうか?また、戦中の年金は目的も制度も全く異なるものですから、同じ議論の俎上に載せるのは適当ではないと愚考いたします。

とにかく今必要なのは需要の喚起です。消費税の減税などの財政政策と、再利下げの金融政策が行われることを祈ります。

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