先日、昨今の物価高について投稿したら、慶應ワグネルの後輩のXX君から「景気が悪くなり物価が上がるスタグフレーションになってきている」「デマンドプル型(需要超過)のインフレではなくコストプッシュ型(原価上昇)型の悪性インフレ」との指摘をいただきました。コメントとてもありがたいです。
正確には実質GDPが下がるかどうかを見定める必要がありますが、金利差が縮まる要素はありませんし、インフレを抑えたいアメリカやEUが円安解消のオペレーションに協調してくれる可能性も低く、為替レートの下落がこれから長期にわたるであろうことは明白です。また、総需要の拡大という要素はまず見当たりませんので、コストプッシュ型のインフレが進むことは間違いないと思います。
私は金融引き締め策をとり他国との金利差を縮めることがコストを抑えることになると思うのですが、先日の黒田総裁の発言では緩和策は継続されるようです。また、為替水準はもっと円安になっても良いとの発言もありました。企業業績と景気への悪影響を考慮してのことかと思います。財務省の統計をみると設備投資はコロナショックを経て2021年度第1四半期から上昇に転じていますので、ここは維持したいという考えもあるでしょう。このままだとスタグフレーションというよりは一方的にインフレのみが進行する展開になりそうです。実質賃金は下がります。
家計よりも経営側を優先した形ですが、家計を守る有権者に響く目先の参院選は、岸田首相が発表した補助金投入で乗り切るシナリオのようです。いわば対症療法ですが、悪い言い方をすれば税金を使って票を買ったようなものです。岸田首相は「家計は守る」と発言しましたが、いつまで持たせるつもりでしょうかね。参院選が終わったらまた違ってくるように思います。
<続報>
まさに本日、日銀の黒田東彦総裁が会見して「粘り強く緩和継続」という談話を出していました。これにより、今まで緩和修正の可能性を探ってもみ合っていた為替相場は、円安が加速してついに1ドル=130円を超え131円に。
自民党の麻生太郎副総裁は本日、物価上昇率2%の目標に関して「今回は間違いなく2%を超える状態になった」「状況は変わってきつつある」と発言しています。当然、麻生氏は参院選を意識していることでしょう。財界を念頭に置けば金利を上げることは困難ですから、選挙前の有権者へのサービスとして、物価高に対応した補助金をもう一段階積み上げようとする気がします。
コロナになってから補助金には慣れてしまっていますが、血税を使うことに変わりはありません。安易な歳出のツケは結局将来の国民に戻ってくるわけです。あ、でも投票に行くのは高齢者ばかりだからOKなのか……特に参院選は投票率が低いし……組織票ばかりだし……これでいいのでしょうか?
日銀法の第二条にはこう書いてあります。
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。
日銀さん、難しい舵取りになりますが、よろしくお願いいたします。