2025年6月22日 東西四大学合唱演奏会にて慶應ワグネルが歌う「リヒャルト・シュトラウス歌曲集」について(Echotamaのブログ)

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現役の慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団に関する話題です。東京六連が終了し、現在は6月22日に開催される東西四大学合唱演奏会(東京都墨田区・錦糸町)にむけて、リヒャルト・シュトラウス歌曲集の練習に励んでいることでしょう。シュトラウスといってもワルツ一家ではなく、例えば交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」は、スタンリー・キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」やTV番組のBGMなどでよく使われているので、かなりの方に馴染みがあるのではないでしょうか。後期ロマン派を代表する巨匠で、甘美で官能的なメロディーと、極限まで練られた陶酔感のある和声が特徴的な作曲家です。

私の関心は現役諸君の演奏の質にあるのは当然なのですが、「どの曲を取り上げるのか」というのも気になっていることの一つです。「リーダー・アーベント(歌曲の夕)」は隅々まで考え抜かれた選曲そして曲順によってこそ完璧なものになります。というのも、福永陽一郎先生が編曲されたものだけで、リヒャルト・シュトラウスの歌曲は8曲もあるのです。

最初に福永先生から「慶應ワグネルで歌ってほしい」と畑中良輔先生が「献呈の辞と共にいただいた」曲は「万霊節」「ひそかなる誘い」「黄昏の夢」「明日は!」「愛を抱きて」「ツェツィーリエ」の6曲だったのですが、畑中先生は「その時のワグネルには、まだこれらの作品をこなす力はなく」と判断され、1967年の第16回東西四連において福永先生指揮により同志社グリーが編曲初演をしたのでした。

畑中先生は満を持して1972年の慶應ワグネル第97回定期演奏会の最終ステージにこの歌曲集を取り上げます。しかし「黄昏の夢」「愛を抱きて」「ツェツィーリエ」の3曲は除かれ、代わりに福永先生に「子守歌」「春の祝祭」の2曲の編曲を新たに依頼した5曲構成としています。この「子守歌」が問題作で、とろけるような美しいメロディーによって母親が子供にむけて歌う曲なのですが、詩の内容はその子供を授かった夜の恍惚と官能を歌っているのです。畑中先生はプログラムに「デーメル(作詩者)のやさしい詩につけられた美しい『子守唄。』」としか書いていませんが、まさか内容を知らない訳がなく、しかもそれを女性ではなく男声合唱で歌わせることにしたのです。ちなみに私の所有しているD.フィッシャー=ディースカウのリヒャルト・シュトラウス歌曲全集(EMI,CD6枚組)と歌曲選集(DG,CD2枚組)いずれにおいても、この曲はカットされています。

そして1990年の第39回四連と第115回定演では「万霊節」がカットされ、「ひそかなる誘い」「子守歌」「ツェツィーリエ」が復活「明日は!」「春の祝祭」の5曲構成です。

直近で「歌曲集」が取り上げられたのは、26年前になる1999年の第124回定演が最後で、「ツェツィーリエ」がカットされ、「ひそかなる誘い」「子守歌」「愛を抱きて」が復活「明日は!」「春の祝祭」の5曲となっています。3回とも「子守歌」は共通して歌われています。女性の夜の恍惚と官能を歌っているのに、それを男声で歌うとなると解釈が複雑になります。畑中先生の意図は何だったのでしょうか。

今回、佐藤正浩先生が指揮するにあたっては、以前に佐藤先生が編曲された「献呈」も取り上げるかもしれませんし、全く新たな曲を編曲されているかもしれません。「子守歌」の有無を含め、「どの曲を取り上げるのですか?」と問い合わせるのは容易いことですが、当日の楽しみとして取っておきたいと思っています。そして当日は、リヒャルト・シュトラウスの甘美で官能的なメロディーと、極限まで練られた陶酔感のある和声による「リーダー・アーベント」に存分に浸りたいと思います。とても楽しみです。

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