慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団のYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDh36sOH2yoNpWBLkN2iUNA/playlists?sort=dd
には、大量の音源がアップロードされています。その中で「これぞ名演奏」という演奏を少々身びいきも交えながら紹介していきたいと思います。ときには他団や一般のプロフェッショナルの名演奏もご紹介します。
最初を飾るのは、昭和44年(1969年)第2回世界合唱祭で演奏された「男声合唱のためのコンポジション」(作曲:間宮芳生先生。現在は曲名が混声と一緒に整理されて「合唱のためのコンポジションIII」となっています)。初演も慶應ワグネルで木下保先生が指揮された名曲です。
全日本合唱連盟の推薦により、慶應ワグネルが日本代表として選ばれ、海外旅行など夢のまた夢だった時代に、ニューヨーク・リンカーンセンターで歌ったのです。
木下保先生が切り刻む日本刀のように鋭いタクトのもと、冒頭から最後まで、完全燃焼し切った素晴らしい演奏です。もう、上手とか下手とか言う次元を遙かに超えています。参加人数の制限により選抜されたわずか40人が、日本代表という巨大な責任を背負いつつ、一つ一つの音の中に日本人が背負ってきた歴史、民俗のマグマを大地の底から地上へと溢れ出させ、巨大な感動へと昇華させた稀有な名演奏だと思います。
演奏後のまるで地鳴りのような拍手と歓声で、日本人ではない聴衆にも感動が伝わったことがはっきりと判ります。
2021年記:上記の演奏は残念ながら一旦未公開となってしまっています。将来再公開となった暁には、ぜひ一度、聴いていただければ幸いです。