東京都知事選 ー都政の経済政策に「格差・貧困の是正」を掲げてくださいー(Echotamaのブログ)

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都知事選を前に、選挙公報に目を通したのですが、正直なところ落胆しています。公約において明確に「格差・貧困の是正」を掲げている主要候補がいないのです。

私がなぜ「格差・貧困の是正」にこだわるかといえば、「格差・貧困」は世代を重ね悪循環するものであり、さらには様々な問題の中核を成していると考えるからです。

日本財団の調査によると、日本の18歳未満の子どもの相対的貧困率(ややこしいので詳細は省きます)は、2019年には13.5%、実に7人に1人とされており、OECD加盟国の中で最悪の水準にあります。親子2人世帯の場合は月額およそ14万円以下(公的給付含む)の所得しかないことになります。私は、その原因の代表は「ひとり親世帯」にあると推測しています。

厚生労働省の発表した2021年度の「全国ひとり親世帯等調査」によると、日本には約135万の「ひとり親世帯」(満20歳未満の未婚の子供を養育している世帯)があります。 内訳は、父子世帯の約15万世帯に対し、母子世帯はその8倍の約120万世帯にのぼります。子供の愛着を勘案するとしても、女性に「育てる性」としての役割を負わせていることが母子世帯への偏りの一因だと思われます。そして母親の正規雇用は自営業5%を加えても約半数である54%しかなく、パート・アルバイトが39%を占めます。平均年収は児童扶養手当や慰謝料等の全収入を合わせてもわずか272万円。そのうち就労収入は236万円であり、同居親族を全て足し合わせても373万円です。これは「平均」ですので、正規雇用を含めてもかなりの割合でワーキングプアや、フルタイム勤務ができないケース、さらには生活保護等を含んでいることは容易に想像がつきます。ちなみに父子世帯では正規雇用は自営業15%を加えて85%、パート・アルバイトが5%、平均年収は518万円。そのうち就労収入は496万円であり、同居親族を全て足し合わせて606万円です。労働条件の男女格差が影響しているのは明らかでしょう。このように男女間の格差是正・女性における貧困の是正は経済的にも必要なことが明白なのです。

このような貧困世帯に生まれた子供は、塾にいくことはおろか、義務教育でも満足な教育を受けられません。進学をあきらめたり、中退するなどをするケースもあります。そのため正規で雇用をされることが少なく、安定した収入を得ることができません。一方で性行動には積極的な場合もあり、年少かつ満足な収入がないまま子供を授かります。婚姻関係が無い場合もあれば、離婚するケースもあります。今や平均でも3組に1組が離婚していて、離婚は中間層で少なく、高収入世帯と貧困世帯が多いといわれています。上述の調査でも、女性が「ひとり親世帯」になった原因の9%が「未婚の母」、80%が離婚です。こうして「格差・貧困」は再生産されていき、悪循環しているのが現状ではないでしょうか。

悪循環を断ち切るためには、貧困世帯への援助が必要だと考えています。富裕層から貧困層にお金を移すこと、すなわち「富の再分配」を行なう。具体的には、「給付付き税額控除」が可能になることを願っております。経済学部出身の方であればミルトン・フリードマンの「負の所得税」はご存じでしょう。「給付付き税額控除」はそれをアレンジしたものとお考えいただければ結構です。乱暴に言えば、一定以下の低所得者の控除分を還付するということです。これは民主党政権時代に「社会保障・税一体改革大綱について」という民主党・自民党・公明党との三党合意として、消費税の8%へのアップとマイナンバーとのセットで練られたものでした。しかしその後の選挙での自民党勝利により国会での委員会採決で否決され、消費税のアップとマイナンバーのみが実施されたという経緯があります。2021年に東京都税制調査会で検討が行なわれていたようですが、現状どうなっているのか調べ切れていません(情報求みます)。

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/report/tzc_r3_4/04.pdf

今回の知事選で経済政策について主要候補の選挙公報をみると、「給付付き税額控除」には誰も触れていません。田母神俊雄候補は住民税減税を記していますが、もとより住民税のラインにも届かない貧困層には全くメリットがありません。小池百合子候補が「物価高騰対策の推進と賃上げ支援」と記していますが、具体的な内容がありません。蓮舫候補が「現役世代の手取りを増やす」として「まずは非正規の都職員を専門職から正規化する」としていますが、本人が正規雇用を望んでいるのならともかく、育児・介護や病気等でフルに働けない職員に正規化を持ちかけても意味がなく、まずは本人の環境の整備や経済的支援が必要です。石丸伸二候補は「経済と環境の両立」という抽象的な文言以外全く触れていません。需要不足で不景気の現状において、「富の再配分」を適正に行ない、潜在需要を貧困世帯から引き出すことは確実な景気対策になると思うのですが、京都大学経済学部卒で三菱UFJ銀行のアナリストだったのにおかしいですね?

財源はあります。東京には富裕層が大勢います。しかも貧富の差は広がっていますから、累進性をほんの少し巻き戻して調整するだけです。国際的にみても、日本は総中流社会というのは遥か昔の話で、今はヨーロッパ大陸諸国より貧富の差が大きいです。米英は貧富の差が日本以上ですが、「恵まれた者の義務」としての寄付文化が根付いており、日本以上に弱者に優しいかもしれません。

おそらく「格差・貧困の是正」とか、貧困世帯への援助というと、「それは自己責任」という声が溢れてきそうです。しかし、貧困世帯に生まれた子供に貧困が連鎖することは、子供たちにとって自己責任でもなんでもありません。しかも、申し訳ないですが、批判する人に限って富裕層とはいえない方たちが多いように思います。弱い者がさらに弱い者を叩く。イジメや差別と同じじゃありませんか。そんな悲しいことはやめて、景気の好循環をもたらすものとして、ぜひ皆様の頭の片隅に置いておいていただければ嬉しいです。

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