合唱集団EARTH第2回演奏会(いきっつぁんの演奏会探訪)

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【2022年11月12日成増アクトホール】合唱集団EARTHの第2回演奏会を聴いた。会場は成増アクトホールという初めてのところでこの団の演奏を聴くのも初めて。取り上げる曲も初めて、おまけに賛助出演の2団体も初めてという初めてづくしなので興味津々だった。

ホールは東武東上線成増駅前の商業ビルにあり便利。定員は472名だが可動式の客席で人が動くとガタガタする。場が広い割に奥行きが浅く音響的にはデッドな感じ。前方を関係者席として出演団体が占め、一般客は7列目から後に着席。

もともとカンタータ土の歌全曲を歌うことを目的に始めた活動だそうで4期目を迎えた。プログラムノートによれば土の歌を取り上げたときは台風を呼び、水のいのちを取り上げたときは大雨を呼んだという。今回の荻久保和明さんの「IN TERRA PAX」を決めたのは2021年の秋だったそうだがコロナ禍を呼んだという。いやそれよりもウクライナ戦争を招いたといった方が近いのかもしれない。どうやら良くも悪くも先見の明があるらしい。EARTHは女声12名男声11名の編成でやや声量不足。併し年齢幅は広いようで味わい深い歌唱だった。2ステには女声合唱団のフルール・ハーモニーを招いて信長貴富さんの「6つのソング[歌うたう]」を17名で熱演。バラエティに富んだ楽しい演奏だった。

休憩をはさんで3ステはもう一つの賛助団体合唱団WAKAGE NO ITARIが男声合唱を聴かせた。先ごろ全日本コンクール出場を決めたばかりで、三重での全国大会で演奏する予定の曲目を聴かせてくれた。33名の男声合唱はなかなかの迫力で合唱団の充実ぶりを垣間見せた。

4ステでは再びEARTHが登場し、小栗克裕さんの「あがだんぶり」。演奏前に作曲者を呼んでのトークがあり、解題の解説。題名は赤とんぼの事で青森各地の方言で同じ内容を別の曲で歌い、最後に共通語で歌うという趣向。直前のWAKAGEが草野新平の詩による高島みどりさんの曲を演奏したことにふれて、カエル語を歌ってから日本語で同じ内容を歌うというのをやられて、同じ演目を先に由瀬れた漫才師の気分、と言って受けていた。なかなか面白い曲だが方言の雰囲気を出すのには必ずしも成功していなかったように思う。書かれた言葉をそのまま歌っても青森弁にはならないのだと思う。アンコールに大地讃頌を歌って終演。

出演はEARTHの指揮 鈴木智士、ピアノが1ステ 山口紗季、4ステ 渡辺灯人、フルールの指揮 中原勇希、ピアノ 佐藤涼子、WAKAGEの指揮 真下洋介、ピアノ 川添文の皆さん。中原さんは4年前リガの歌の祭典でお目にかかったが指揮を見るのは初めて。さすが指揮者コンクール1位の的確な指揮ぶりで気持ちがよかった。真下さんはもう何度も松原混声などで観ているが、鈴木智士さんの指揮も初めてだった。この3団体はいずれもまだできて数年の新しい合唱団。これからの活躍を期待したいと思う。

いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。