『ポーギーとベス』から慶應ワグネルのリズム感改造計画は始まった?(Echotamaのブログ)

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 畑中良輔先生は『ポーギーとベス』に特別な思い入れをお持ちなのでしょう。ワグネルでは第109回定期演奏会を含め5回も取り上げています。しかし、このときの練習は苦しみの連続でした。

 既に木下保先生ご逝去から3年目のワグネルは、木下先生流の居合い切りのような縦に鋭いリズムは影を潜め、以前よりも重い、4拍子の4拍目を若干引きずるような独特のリズム感を身につけていました。

 『ポーギーとベス』冒頭の、叫びのような「Wow Wow –」だけでも一体何回練習したことでしょう。

 「重たくてどうしてもビートが出てこない。もしかしてアンタたちは受験戦争に明け暮れてポピュラー音楽は聴かなかったの!?」と畑中先生に仰られた程です。『ネーニエ』であれほどの名演奏をしたのに、ブラームス、ジョスカン・デ・プレ、多田武彦、さらにはロシア語のチャイコフスキーまであって、ガーシュインまで全てこなすのにはさすがに無理があったのかもしれませんが、それにしても黒っぽいリズムに乗れないのです。

ポーギーとベス

ガーシュウィン:歌劇「ポーギーとベス」全曲

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2007/02/21
  • メディア: CD

 畑中先生は、この『ポーギーとベス』の経験から、ワグネルの音楽をもっと様々な音楽に適応させるには、リズム感に融通性を持たせる必要があると思われたのでしょう。そのためには、ワグネルに他の血を入れることが不可欠だとお考えになったのだと思います。おそらくこのような理由から、翌年から東京六連に北村協一先生を招聘する3年計画が始まったのです。代わりに畑中先生は東京六連で立教グリーを振ることに。この計画が明るみに出たとき、男声合唱界にまさに衝撃が走りました。