メゾソプラノ歌手のクリスタ・ルートヴィヒさんが4月24日に93歳でお亡くなりになりました。「大歌手の時代」のほぼ最後の世代に当たる偉大な歌手。悲しい。ひたすら悲しいです。
気品があり、柔らかで暖かい声。ちょっと茶目っ気もありました。ウィーン楽友協会での引退コンサートの演奏をみると、優しい性格の素晴らしさまで伝わってくるようです。
まるで母親のよう…そう。私の母はアルトでした。世代もほぼ同じ。奇しくも明後日は亡き母の誕生日です。生きていれば89歳でした。ちょうど10年前の今頃、医師から「もう為す術がない。あと数か月の命」と告げられたのでした。10年たって、再び母親の死に向き合うことになった気持ちがします。
名盤で知られるクレンペラー指揮マーラー『大地の歌』をあらためて聴いています。ヴンダーリヒのテノール独唱はもちろん桁違いなのだけれど、クリスタ・ルートヴィヒのアルト独唱は、なつかしく、なつかしく、あまりに感動的です。とりわけ第6楽章 Der Abschied(告別)の30分にわたる歌唱、そして最後、永遠の別れを歌う「Ewig… ewig…(永遠に…)」と、Gänzlich ersterbend (完全に死に絶えるように)消えていくところは涙が出てきます。
- アーティスト: オットー・クレンペラー
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2014/06/18
- メディア: CD
クリスタ・ルートヴィヒさん、あなたとも永遠の別れをしなければならなくなりました。どうか安らかに天国でお休みください。