このサイトでは日本全国各地の合唱団の演奏会や新歓/団員募集も積極的に取り上げるように心がけております。
特に各地方大学は、各地域のスポーツ・文化の拠点として重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。卑近な例ですが、私が中学生だった頃、信州大学混声合唱団の演奏を聴き、はじめて体が共鳴するベース(バス)の声を聴いて衝撃を受けました。当時私が所属していた中学校の合唱部は、男子はたった6名で混声3部合唱。クラス対抗の合唱コンクールで「大地讃頌」とか混声4部はやりましたが、大学生の声とは全く違います。こういう大人の声で歌ってみたい、という憧れが生じたのも当然でした。
各都道府県には戦前の師範学校の流れをくむ教員養成学部を擁した国立大学が(鳥取大学などの例外を除き)必ず存在しています。例えば合唱団で言えば、一般の団員の他に、教員養成学部の音楽専修科に属している団員もいて、専門教育によるアドバイスや他の部員をリードする役割を担っている場合が少なくありません。単なるアマチュアだけとはちょっと違うのです。大学生の合唱は、小中高生よりもはるかにレベルが高いものだという考えは、単なる思い込みではなく、ちゃんと理由があるのです。また、Nコンや朝コンだけが合唱じゃないよ、バッハやブラームスとか歴史上の巨匠もいるんだよ、と目を見開くことを導いてくれる存在としても、大学合唱団の存在は大きかったと思うのです。
新歓/団員募集の情報を集めていると、地方大学合唱団の活動状況が見えてきます。大抵の合唱団は定期演奏会の回数から察するに多くは長い歴史を有しています。人数規模は100人を超えるケースもありますが、わずか4人になってしまっているところもあります。合唱文化の退潮、コロナ禍、あるいはその双方によるのかもしれませんが、もしもこのままの状態が続き、さらには消滅でもすることになれば、その地域の小中高生を含め合唱文化の素地が揺らいでしまうのが心配です。
各地方の文化の拠点として、地方の大学合唱団にもぜひ踏みとどまって頑張ってほしい。私は心から応援しエールを送りたいと思います。