【2022年12月6日府中の森芸術劇場ウィーンホール】4日に続き6日もジョイントコンサートがあった。府中の森芸術劇場ウィーンホールでの「出逢いと音楽」と副題されたこの演奏会はRosa MarianoとStella Marianoという2つの女声合唱団によるジョイントコンサート。どちらも岸信介さんが指揮する団体で、発足から姉妹団体のようにして設立されたそうだ。前者が1997年にアカペラを主体として、後者が1999年に日本語を歌うというはっきりした目的をもっての設立。ただコロナ禍で団員数が減り、細々とつないてはきたものの独自の演奏会を開くには少なくなりすぎたため、合同での演奏会を企画したという。経緯からして必然的な流れだったかもしれない。言われてみれば今年は特にジョイントコンサートが数多く開催されているような気がする。
さてこの演奏会は姉妹団体だけあってかなり合同演奏に力を入れていて、1,4ステが合同演奏。しかも衣装も全員同じにそろえるという凝りよう。
1ステではラインベルガーの「ミサ曲 イ長調op.126」を黒のドレスで演奏。熟年女声合唱の落ち着いたハーモニーが温かかった。その前にせっかくだからとパイプオルガンの独奏で3曲聴かせてくれたが、パイプオルガンの様々な音色を使っての演奏で、ここのパイプオルガンを聴いたのは初めてかもしれない。
続いて2ステはRosaで木下牧子さんのアカペラコーラスセレクションから。5人のメンバーに2人の団友が加わってわずか7人のアンサンブル。しかしアカペラのハーモニーが心地よく響き渡り結構聞きごたえがあって驚いた。3ステはStellaで信長さんの「悲しみ色のスケッチ」。初めて聴く曲だったが「いえすへのこうぎ」が面白かった。個別ステージはそれぞれカラフルなユニフォームで、衣装を見ているだけでも楽しい。
4ステは再び合同演奏。今度は純白の衣装で中田喜直さんの「雪の日に来る人」。この曲も初めて聴いたが初夏から秋、そして冬へと移り変わる景色が目に浮かぶようだった。春が無いのは中田喜直さんが父親の中田章作曲の「早春賦」に敬意を表して春の曲を作らなかったのだという伝説がある。まったくない訳でもないらしいが、この組曲にもそれが反映しているのかと思った。中田さんの略歴を見て生まれが私の父と同年でしかも終戦時陸軍少尉というところまで同じということに初めて気づいた。
4ステの前に岸さんのトークがあり、前理事長としての立場から合唱界の苦境を訴えたが、いかにもその通りと思い、改めて合唱連盟が早々にガイドラインを作ってくれた恩恵は大きかったと思った。
出演は、指揮 岸信介、オルガン 小林英之、ピアノ 法嶋晶子の皆さん。
いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。