Salicus Kammerchor J.S.バッハの教会カンタータvol.2(いきっつぁんの演奏会探訪)

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【2022年11月29日豊洲文化センターホール】Salicus Kammerchor(サリクス・カンマーコア)の演奏会J.S.Bachの教会カンタータvol.2を聴いた。2015年の第1回演奏会から第5回のモテット全曲演奏会まではすべて続けて聴いていたのだが、カンタータシリーズは初めて。もっともvol.2なので前回を聴き逃しただけとも言える。バッハの中でもカンタータは数も多く、どうしても敬遠しがちでほとんど聴いていないから今回のプログラムもほぼ初めての曲ばかり。それでもバッハはいろいろなところに旋律を使いまわししているので、聞き覚えのある旋律も出てくる。研究者が取り組むには一生モノの作品群になるわけだ。

主宰の櫻井元希さんはこれからこの膨大な作品群の全曲演奏を目指すのだろうか。そうだとするとまだまだ聴く機会があるはずだが同じ曲を聴くことは難しいのかもしれない。つまり一期一会の演奏会だと思うとそれだけ真剣になった。しかし今回は直前にいろいろあってメンバーの交替や不参加が発生したようで、主宰も苦労したことだろう。それでもハイレベルの演奏ができるのは、ほとんど顔なじみばかりの若手声楽家グループのすごいところでもあると思う。

今回はモテット番外のBWV Anh.159に始まり、カンタータが4曲で、4,64,121,28を取り上げた。降誕節ということでそれにちなんだ作品を集めたという。バッハが長く教会で仕事をしていたゆえの作品群で、キリスト教徒にとっては帰っととても大切なものなのだとは思うのだが、この宗教臭さが私が敬遠してきた理由なのかもしれない。特に最近感じるのは、バッハの素晴らしい作品があるいはドイツ人のユダヤ人嫌いを助長してきたのではないか、という疑問。それを考え始めると音楽を素直にそのままは聴けなくなってしまうのが困ったところだ。

今回の演奏では中須さんのソプラノソロが美しく特に印象に残った。バッハはどちらかというとアルトに重要な役割を持たせるように思っていたが、降誕節の底抜けに明るい歌唱はやはりソプラノならでは。

指揮は櫻井元希さん。幕間のトークも的確簡潔でよかった。伴奏の器楽グループも常連だが、ZinkとSACKBUTという管楽器は興味深かった。

いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。