東西四大学合唱演奏会を聴いてきました。以下、きわめて個人的な感想など。
関学は現代音楽。私が苦手な分野ですが、一聴して難解で高いテクニックを要求する曲であることは判りました。それを克服して安定した曲作りをしている関学のテクニックには感服します。テーマは人間と自然との対立の克服と調和を訴えるものだと私なりには理解しましたが、そのメッセージ性は正直よく判りませんでした。コンクールには向いているかもしれませんが、聴いて楽しいかと言われると複雑な気持ちです。現代音楽全般の問題かもしれません。オンステ人数は実測32名でした。
早稲田は作曲家である上田真樹先生自らピアノで、相澤直人先生指揮でした。ワセグリが他団の追随を許さない点は、私にとっては、ド迫力によって表現される地獄のような絶望感と、その向こうにある希望を感じさせる魂の叫びなのだと思われます。それが今回のようなノスタルジーや夢うつつの心情を表現する曲にマッチするのか不安に思っていました。勝手に言わせていただければ、やはり従来からのワセグリの世界を広げるまでには至らなかったと思うのです。失礼ながら、今日の演奏だったらワセグリでなくてもできます。私はワセグリならではの音楽が聴きたいのです。オンステ人数は46名でした。
同志社は相変わらず良い声です。素晴らしい伝統です。事故が無かったわけではありませんが、同志社の声で歌われる、それを聴く、というだけで気分が良くなります。今日も安定したハーモニーで多田武彦先生の世界を歌い上げてくれました。オールドファンである私のノスタルジーを押し付けているかもしれませんが、恐らく現代の現役大学生世代にも良さは伝わっているのではないでしょうか。オンステ人数は32名でした。
慶應はリヒャルト・シュトラウス。注目の曲目はひそやかな誘い、子守唄、ツェツーリエ、明日は!、春の祝祭の5曲。つまり115回のときと同じでした。子守唄は、子供を授かったときの女性の官能をどう表現するのかと思っていたら、「父親、母親どちらの視点でも曲を楽しむことができ」と解説されていました。この組曲はめくるめく転調と、特にトップテナーの負担が重い高音の連続があるのですが、最近の現役の実力は我々の頃より一段と高いようで、少しだけの事故で乗り切っていました。歴史に残る名演奏だったと思います。オンステ人数は43名でした。名簿は2年生以上が37名でしたから、1年生から6名選抜されていたようです。入団から2ヶ月半でリヒャルト・シュトラウスを克服したとは、今後の活躍が楽しみです。
以上、現場からの帰途を利用してのリポートでした。

