オーケストラ・ニッポニカの設立20周年記念演奏会3回シリーズ(2回目)(いきっつぁんの演奏会探訪)

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【2022年12月11日紀尾井ホール】今日はオーケストラ・ニッポニカの設立20周年記念演奏会3回シリーズの2回目を聴いた。このオーケストラは日本人作曲の埋もれた管弦楽作品を掘り起こして再演することを主たる活動テーマとしていて、もうスコアも失われてしまったような曲も音源から譜面を起こして演奏してみたり、遺品から見つかったスコアからパート譜を起こして演奏したりという地道な努力を継続してきている。太平洋戦争は音楽界にも不幸な断絶を生んだと思うが、戦後すぐに活躍した人たちはその基礎は戦前に作っていてたわけで、決して戦前と戦後が切り離されているわけではない。戦前の音楽をすべて封印してしまい、わが国の西洋音楽が戦後から始まったように考えるのは大きな間違いだということをこのオーケストラは身をもって発信し続けているのだ。

20周年の企画は時代を10年ごとのくくりで作品を選び12名の作曲家の13の作品を取り上げる3回の演奏会として企画された。2曲取り上げられたのは芥川也寸志さんで、彼はこのオーケストラの創設に尽力したというから特別扱いも納得できる。今回は1930年代から諸井三郎、1990年代から藤家溪子、2000年代から糀場富美子、2010年代から藤倉大の4人の作品を取り上げた。

前半は藤家、藤倉、糀場の順に演奏されたが、音の多い現代音楽ばかりでいささか食傷。藤倉の作品が際立っていたように感じた。糀場の曲はピアノソロとの共演で新進気鋭の阪田知樹さんが登場。ピアノを中央に移動する段取り換えを休憩なしで見ているのも楽しかった。

休憩中に今回発見したのはカフェが復活していたこと。コロナ禍以来閉店していて寂しい思いをしていたがいつから再開したのか知らなかった。でも今回は見ただけ。

後半がメインの諸井三郎「交響曲第2番」。諸井の交響曲は昭和10年の作品をかつてニッポニカで聴いたが、今回は昭和13年の作品で当時新交響楽団が初演したという。第1番が海外で書かれておそらく当時の国内オケでは演奏できなかっただろうという手法をふんだんに使っているのに対し、これは新響での初演が前提ということもあってか、かなりおとなしい感じ。しかしそれでも戦争前夜の雰囲気を盛り込んで音楽的に警鐘を鳴らしたようなところもあって興味深かった。

指揮は野平一郎さん。このシリーズの3回目は3月25日に同じ紀尾井ホールで開催される予定。演奏会プログラムの別冊付録としてこれまでの演奏会の全記録を掲載した冊子が付けられていて、大変参考になる。

いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。



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