マリアン・コンソート(いきっつぁんの演奏会探訪)

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【2023年2月21日 東京文化会館小ホール】昨夜のマリアン・コンソートの演奏会は3年越しの開催だった。当初2020年5月14日に開催予定だったが、新型コロナ感染症の拡大により来日が不可能となり2021年9月28日に延期された。しかしこれも開催不可能となってようやく今回の開催となった。2度の延期にも拘らず開催にこぎつけたプロモーターの御努力には感謝したいと思う。私は払い戻しを受けずにひたすら開催を待ち望んでいたので期待していた。しかし残念ながらメンバーは大幅に入れ替わり、カウンターテナーで音楽監督のローリー・マクリーリー以外は全員が変わってしまった。

このグループは聖母マリアから名前をもらっていて、今回もルネサンス時代の楽曲で構成されている。また私自身はあまり気にしてはいなかったのだが、少なくともタリス・スコラーズのシャーロット・アシュリーさんが今回はいなかったということでがっかりした人がいたのかもしれない。さらに、延期の間に国際情勢が激変したことにより、プログラムの内容にも微妙な影響を与えたようだ。

今回の柱であるバードの4声のミサは、いくつかに分けられてその間にバードや同時代の別の曲がはさまれる形で演奏された。

冒頭2曲はW.Byrdの「Apice Domine」でその言葉がこの演奏会を性格づけている。

「主よ、ご覧ください。/富に満ちた街が荒れ果て、嘆き、悲しんでいます。/
彼女を慰めるものは誰もいません。/私たちの神である主、あなただけです。」

続いて歌われたのは「Gaudeams omnes in Domino,すべてのものよ、主にあって喜べ」でその中の言葉「賛美は正義にふさわしい」がしみる。そしてミサ曲のキリエ、グロリアへと至る。続く曲もバードで「主よ、あなたの怒りの中で」ここではじめて英語の曲が歌われた。しかし古英語で、聴いていてもあまりその変化がよくわからない。

次にモンテの「わたしの目に光をあててください」で「死の眠りにつかないように、わたしの目に光をあてて下さい。/わたしの敵がわたしに勝ったと言わないように…」と歌う。

そしてバードに戻り「Timite Domine主の聖なる人々よ、主を畏れ敬え」「O Lux beata Trinitas おお、祝福された三位一体の光よ」で神を祝福し、三位一体つまり統一をたたえて前半を終えた。

さて、3年前の予定では冒頭の曲はバードの「Miserere mei, Deus」で、前半は「Laetentur caeli 天よ、喜び歌え」「Sive vigilem 起きているときも、眠っているときも」で終わる。これがコロナ禍とウクライナ戦役で変わってしまったのだと理解している。

ここまで聴いて退出した人が20人以上はいたらしい。隣の人もいなくなっていた。確かにこの時期の曲はどれを聴いてもゆったりした退屈なもので中身を理解できないとつまらなかったのだろう。だが後半こそ聴くべき内容だったのではないだろうか。

まずはトマス・モーリーの「私は嘆き疲れました」そしてバードの「神に従う人の魂は」と続き英語の「ナイチンゲール」へと続く。これは鳥の名前だが往年の敵も味方も負傷したものは差別なく助けたという白衣の天使を思わせる。そしてミサのサンクトゥス、ベネディクトゥスへと続き、モテット「Beati mundo corde心の清い人々は、幸いである」に至る。

ここにホワイトの「あなたを仰ぎ見ます」が挟まり、バードの「Domine praestolamur 主よ、お出ましください」さしてミサの「Agnus Dei」で我らに平和を与えたまえと歌うのだ。最後にバードの英語のモテット「Turn our captivity, O Lord 主よ、わたしたちの戒めを解いてください」で終演した。

3年前の最終曲の予定はバードの「Venite, exultemus Domine さぁ、主に向かって喜び歌おう」だったからこの間の社会状況の変化を巧に反映させ、よく考えられたプログラムだったという事が解る。

この6人編成のアンサンブルは時に3人4人5人と編成を変えてこれらの楽曲を歌っていたが、美声ぞろいのメンバーで心にしみる美しいハーモニーを聴かせてくれた。レパートリーがルネサンス時代ということで平板で退屈な音楽と感じるのもやむを得ないかもしれない。しかしその中身はものすごく今日的で重厚な内容だったと思う。

最後に今回と3年前の予定メンバーを記録しておきたい。

今回のメンバーは、S アレクサンドラ・キッジェル、キャロライン・ホールズ、A サラ・アン・チャンピオン、ローリー・マクリーリー(カウンターテナー)、T ウィル・ライト、B ジョン・ステインズビーの皆さん。

因みに3年前のメンバーはS シャーロット・アシュリー、ルシンダ・コックス、CT ローリー・マクリーリー、T エドワード・ロス、Br ミシェル・クラドック、Bs エドムンド・サディントンだった。メンバー変更が曲目にも影響しているのかもしれない。

いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。


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