修行の1年生時代(Echotamaのブログ)

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 慶應ワグネルに入団しても、すぐに曲が歌えるわけではありません。練習開始後1時間の発声練習は全員一緒ですが、東京六連と東西四連が終わる6月下旬まで、上級生ステージの練習が始まると、1年生は別の部屋(通称『別室』)に連れて行かれ、そこでサブの学生指揮者が指導者となって発声練習を中心とした練習を積むのです。時にはヴォイストレーナーの大久保昭男先生が別室に来て、わざわざ1年生の発声だけを指導していただく贅沢な日もありました。

 また、それとは別に月~金の毎日、昼休みの12:20~13:00の間は、日吉(原則2年生までのキャンパス)のサークル棟の2階に集まり、2年生の指導の下、発声練習とカレッジソングを中心とした愛唱曲の指導を受けました。愛唱曲は数日で1曲ずつ、かなりのペースで覚えなければなりません。

 「ハイ、この曲は明日までに3番まで全部暗譜してね。全員きちんと確認するから、ごまかそうとしたってムダやから」授業よりも熱心に、日吉の二幸食堂の「たまり」(たまり場のこと)で暗譜に勤しむ姿は、周囲からは異様に見えていたことでしょう。

 夜、指揮者の先生の練習時には、指揮者の後ろに座らされて、上級生の練習を聴かされることもありました。その年の曲目は、5月中旬の東京六連が、ルネサンス音楽の世界的権威である皆川達夫先生が指揮するジョスカン・デ・プレのミサ「マーテル・パートリス」、

皆川達夫先生


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6月中旬の東西四連が、畑中良輔先生が指揮するブラームスの「ネーニエ(哀悼歌 Nänie op.82)」でした。

 ミサは、練習時にどう聴いても違和感があり、その違和感は本番まで解消されることはありませんでした。ミサらしくなくてまるでオラトリオみたいなのは仕方ないとしても、それ以前の問題としてそもそも音程が悪すぎる(特にベース)。ところが上級生は「良い演奏」だったと自己評価していたので驚かされました。このギャップは一体何なのか。本当に自分はこんなクラブに入って良かったのだろうかとすら思いました。

 そんな不安を吹き払ってくれたのが、畑中良輔先生が指揮するブラームスの「ネーニエ(哀悼歌)」でした。



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