ホールの残響と歌い手の関係(Echotamaのブログ)

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 ホールについて書くと、残響面について述べることが多くなります。なぜ残響にこだわるかというと、客席でお客様が聴く音響の良し悪しはもちろんのこと、合唱の場合は演奏者である歌い手の心理的な「歌いやすさ」も残響によって左右されることが多いからです。残響は多すぎても、少なすぎても、「歌いにくい」のです。

 誰でも、風呂やカラオケなど、エコーが効くところだと、うまくなったような気分になるものです。しかし残響が多すぎると、他パートとのアインザッツ(歌い始めの瞬間)がきちんと合っていても、まるで合っていないかのように聞こえてしまう場合があるのです。こうなるとたちまち不安が生じます。指揮者がいて歌っているのですから指揮者に合わせるのが当然のはずなのですが、不安が高まると、耳に聞こえた音の方に合わせようとしてしまうのです。こうなるとハーモニーは本当に合わなくなり、声も伸びなくなってきてしまいます。合唱は直接肉体で音を出すからかもしれませんが、楽器演奏に比べ、心理状態が音に直結してしまうのです。

例えば福島市音楽堂。壁はタイル貼りで、まるで風呂の中のような響きです。

福島市音楽堂

 一方、残響が少ないと、自分達の声がホールの隅々まで到達していないような感覚になり、無理に力んだりして声が伸びなくなってしまうことがあります。しかも、どんなホールでも、お客様が入ると服などが吸音材となってステージリハーサル(ステリハ)のときよりも残響が少なくなります。雨の日など、湿度が高い日は特に変化が顕著です。ステリハの時よりも声が伸びていないように感じられ、ますます力が入ってしまいます。

 私達にできることは、ホールの性質を把握し、上記のようなことが起こることを冷静に想定した上で「歌いにくさ」を最小限にしていくことです。言い換えれば「ホールとうまく付き合う」ということです。知識と経験がものを言うところですので、これもある意味ではその合唱団の「実力」の一部なのだと思います。

 ホールの残響が多いと、子音が判りにくくなりますので、通常よりも気を使って子音を大きめにしないと、何を歌っているのかお客様に伝わらなくなってしまいますし、子音でニュアンスを伝えること(日本語/外国語問わず)もできなくなってしまいます。

 ただ、何でも子音を大きくすれば良いというものでもないので、ステージリハーサル(ステリハ)の際に客席側でヴォイストレーナーの先生等に聴いていただいて、子音の出し加減を調整するのが良いと思います。

 また、客席側では、残響が多いと気持ちよく聞こえる場合が多いのですが、時にステージが遠くなるような錯覚を覚える場合もあります。きちんと鼻腔に共鳴した豊かな響きが伴っていないと、遠くでBGMが流れているように聞こえてしまい、ステージとの一体感が保てなくなります。「何か気持ちよかったけど印象が薄い演奏会だった」ということになりかねませんので、ホールの残響に助けてもらうにも限度はあるということだと思います。やはり良い声があってこそです。



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