【2022年12月22日東京文化会館】朝日新聞厚生文化事業団と朝日新聞社が主催するチャリティコンサートが3年ぶりに開催された。芸大声楽家の学生による合唱と芸大フィルハーモニア管弦楽団、ソリストは全員芸大卒の院生や若手のプロ声楽家が出演する芸大挙げてのメサイア演奏会。特にソリストに選ばれる人の多くは数年後に大活躍するので聴き逃せない。
今年は合唱定期がメサイアだったので、先月聴いたばかりなのだがソリストは全員入れ替わっていて全く別のものになった感があった。今回のソリストは緊張もしていたのかもしれないが、4人とも線が細い感じの声質であまり特徴が無く聴いていて平板な感じをつかんだようだったが、第1部のソプラノソロの歓びが爆発するような表現は物足りなかったし、第2部のアルトにはもっと凄みのある表現が欲しかった。テノールソロはかなり感情を込めた表現が見られたがアマチュア時代についてしまった癖が時々現れていたのが残念。バスはしっかり歌ってはいたのだがハイバリトンのような声質でテノールとの差がなく印象が薄かった。もしもこの4人でアンサンブルしたらきっと美しい四重唱が聴けたかも、と思ったが残念ながらメサイアには重唱はないのでまたいつかのお楽しみとなる。第3部のトランペットソロはさすがの完成度だったが、約束事のようにここで一々拍手するのは曲の進行を止めることになるので考え物だ。よほどのものでない限り辞めておいた方がよいと思う。
指揮は山下一史さんで彼は桐朋出身ながら現在は芸大教授。ソリストはS 西田幸里海、A 後藤真菜美、T 河野泰佑、B 大野光星、合唱指揮 辻秀幸の皆さん。
テノールの河野さんは慶應ワグネルで歌っていて一度は金融機関に勤務したが2年で辞めて藝大に入学、現在芸大大学院修士課程に在学中とのこと。異色の経歴だが合唱出身者ということで特に注目しておきたいと思う。
いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。