骨肉の争い(ロシアのウクライナ侵攻)(Echotamaのブログ)

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ロシアのウクライナ侵攻問題について考えれば考えるほど混乱してきてしまうのですが、情報の中には明確に誤りと言えるものもあります。それは、ロシアとウクライナは似た国家であり友好的であったというものです。それは欧米人が日本人と韓国人に関して「似た者同士なのだから仲良く一緒にできるんじゃない?」と、2002年サッカーワールドカップを日韓共催で収拾した発想と同じようなものです。

いきなり話は飛びますが、先日ロシア侵攻後に、ウィーンフィルがアメリカ・ニューヨークのカーネギー・ホールで演奏会を行ないましたが、指揮者のヴァレリー・ゲルギエフが降板させられました。ゲルギエフは少数民族のオセット人(『オセチア紛争』という言葉をニュースで聞いたことがある方もいるでしょう。そこの出身)ですが国籍はロシアで、プーチンと懇意だと言われています。NATOの盟主たるアメリカで指揮ができなくなったのは当然ともいえますが、よくぞウィーンフィルがゲルギエフを指揮者に選んでいたものだというのがそもそもの驚きなのです。私が調べた限りでは、ウィーンフィルを振ったロシア民族の指揮者は、ニューイヤーコンサートも含めて一人もいません(作曲家についてはクーベリックやゲルギエフがチャイコフスキーを振ったり、小澤征爾がリムスキー・コルサコフを振ったりしていますが、珍しいです)。ゲルギエフが純粋ロシア人だったとしたらおそらく無理だったでしょう。なぜならオーストリアとロシアは不倶戴天の敵だからです。

オーストリアのハプスブルク家の紋章とロシアのロマノフ家の紋章は全く同じ双頭の鷲です。片や西ローマ帝国→フランク王国→ハプスブルク帝国(神聖ローマ帝国→オーストリア帝国)、片や東ローマ帝国→(ロシア国王の妻が東ローマ皇帝の姪)→ロシア帝国。ルーツは同じローマ帝国でともに「第三のローマ」として本家を名乗り1600年間争っているのです。実戦においても19世紀にはオスマン帝国から領土を奪って南下してきたロシアとオーストリアがバルカン半島で紛争を繰り返し、ついに20世紀にロシアと同盟を結んだセルビア人がオーストリアの皇太子を暗殺した「サラエボ事件」によってオーストリアがセルビアに宣戦布告し、第一次世界大戦が始まっています。

そしてウクライナです。時々現在のウクライナを初の民族統一国家としてソ連から独立したとする解説を見かけますが、これも誤りです。たしかに中世のキエフ大公国はキエフという名前ながらもウクライナ・ロシア・ベラルーシ各地の公国の連合体でしたし、その後はモンゴルの支配を受け、第一次世界大戦中まで現在の西ウクライナはオーストリア領で、ウクライナ民族の独立という意思を持ちながらもハプスブルク=西欧への愛着心も持ち、現在の東ウクライナはロシア人が住みロシア語を話しロシアに支配されていました。それが大戦中の1917年に劣勢となったオーストリアから分離して、二月革命が起こったロシアから東の領域まで獲得し、「ウクライナ人民共和国」が成立します。これがウクライナ初の民族統一国家(東部はロシア人が多くいましたが)です。非常にややこしいのですが同名のボリシェヴィキ=ソヴィエトロシアの「ウクライナ人民共和国」とは全く別です。そして同じ名前同士が戦って、軍事力で後者が勝利し、ソヴィエトという社会主義イデオロギーで一体化させていったのです。しかし、前者は3年間しか存在しませんでしたが、初の民族統一国家としてウクライナ人の記憶に深く刻まれていました。その証拠に現在のウクライナは前者の後継国家を名乗っており、国旗も国章も前者と全く同じなのです。

ちょっとデリケートな話(『タタールのくびき』と言われる差別を含んだ被害者意識)ですが、社会主義時代のブラックジョークとして、ウクライナ人は陰で「モンゴル人(レーニンのこと)の言うことなんて聞かねえよ」と言っていたとか。ロシアよりもウクライナの方がモンゴルとの混血度が低い(=より純粋なスラヴ民族)という怪しい主張だそうです。

つまり、ロシアとウクライナは兄弟みたいなもので同じ旧ソ連ではありますが、仲が良いどころか戦火すら交えてきた長い歴史があり、現に今も内戦状態だということなのです。片や西、片や東を向いています。骨肉の争いと言って良いかもしれません。

非常に危険な例えですが、仮に、あくまでも仮に、朝鮮半島内に実質日本支配の地域があり、日本が依存する重要な穀倉地帯・工業地帯で、大半は日本人が住み、日本語を話しているとして、その地域に韓国のロケット弾が飛んできているとしたら、日本人はどう思うでしょうか。駄言はこのくらいにしておきます。



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