Ensemble Evergreen演奏会2023(いきっつぁんの演奏会探訪)

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【2023年1月9日HAKUJU HALL】2023年最初の演奏会はEnsemble Evergreen。だいぶ前に聴いた覚えがあるのだが2012年から付け始めた記録には出てこないのでそれより前の事だったらしい。おそらくメンバーもほとんど入れ替わっているのではなかろうか。結成は1998年というからもう25年目に入っている。2003年にはタリンのコンクール室内合唱部門で第1位というがもう20年前のことだ。演奏会はコロナ禍のため3年ぶりだそうだが女声10名男声11名という編成でパートバランスもよく、低音がよく響く。築き上げた伝統は維持されていて美しい和音が心地よかった。会場は久しぶりのHAKUJU HALL。このホールは18席が横一列という珍しい作りで、中に入ると出るのが一苦労。しかし響きのよい小ホール。駅から遠いのが玉に瑕。

プログラムは2部構成で前半は外国作品。まずイザークの「インスブルックよ、私はお前を離れなければならない」のなつかしいハーモニー。学生時代の愛唱曲だった曲で当時は「インスブルックよ、さようなら」と意訳されていた。続いてモンテヴェルディの「アリアンナの嘆き」からの4曲。最初の「私を死なせて」は大学1年の定期演奏会で歌った曲だからこれも懐かしく聴いた。オペラの中の有名なアリアだったらしいが、残念ながらこのオペラは不完全な形でしか残っていないという。他の3曲は初めて聴いたがバロックハープの通奏低音付きで、良い雰囲気が出ていた。そして一息置いてドイツ音楽の4人の作曲家によるアカペラ宗教曲を4曲。シュッツ、ブルックナー、レーガー、ディストラーと国はまちまちだがたしかに広い意味でのドイツ音楽の歴史をたどるような企画。シュッツはドレスデン、ブルックナーはウイーン、レーガーはルクセンブルク、ディストラーはライプツィッヒと活躍した場所はそれぞれ。いずれも美しいハーモニーの曲でそれを見事に再現してくれて心憎い構成だと思った。特にブルックナーの「Locus iste」は今でこそよく取り上げられるが、50年前にはあまり知られておらず、レコードを聴いて感動した曲だ。ディストラーは今でもあまり知られていないかもしれないが、やはりレコードで初めて知って感動した組曲「死の舞踏」の作曲者。谷郁さんがその名を冠した合唱団を作って普及に努めているのを心強く思っている。

そして後半は瑞慶覧尚子さんへの委嘱新曲初演で混声合唱曲集「愛あるところに」。3人の詩人による7曲で構成される曲集。20年前にこの団が初めての演奏会を開催した時取り上げたのが瑞慶覧さんの曲だった縁で、その後沖縄公演も繰り返し、特別な思いがあるという。残念ながら瑞慶覧さんは見えなかったがメッセージの一問一答を読み上げる形で対談に替えた。主催者の苦心がうかがえるが、内容はなかなか濃かった。曲の方は短い曲が3曲続き、続く室尾犀星の「永遠にやってこない女性」が長編。まるで小説のような、という形容がなるほどと感じさせた。最後の北原白秋「りんりん林檎の」は楽しい童謡風の作品で明るく終わったのがよかった。アンコ―ルにバッハのヨハネ受難曲から、この演奏会冒頭のインスブルックのモチーフが使われているコラール、さらに「りんりん林檎の」を再演して終演。

21名という少人数だが合唱経験豊富な方たちによる高度なアンサンブルが強い印象を残した演奏会だった。

出演は、指揮 二階堂孝、バロックハープ 曽根田駿、ピアノ 谷あやの皆さん。

いきっつぁんのプロフィール:早稲田大学卒業。在学中混声合唱団に所属。現在はレクイエム・プロジェクト東京いのりのとき合唱団、日本ラトビア音楽協会合唱団ガイスマに所属。


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