「リヒャルト・シュトラウス」と言って、話題についてきてくれるのは、ある程度深くクラシック音楽に触れた経験がある方だけかもしれません。
ワルツ王のヨハン・シュトラウスと間違われたり、せいぜい「スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』のテーマ音楽の人」と言って「へー」とわかっていただけるぐらいのことが多いでしょうか。
クラシック音楽ファンの方でも、多くの方は交響詩「ドン・ファン」「死と変容」「英雄の生涯」「ツァラトゥストラはこう語った(上記『2001年宇宙の旅』の曲)」や、「アルプス交響曲」などの管弦楽に興味が向いてしまうでしょう。
声楽曲となると、オペラ「サロメ」「ばらの騎士」などはまだ良いとしても、歌曲となると、先般取り上げた「萩尾望都『ポーの一族』「春の夢」と「ユニコーン」」で記した歌曲集「4つの最後の歌」の話が通じるだけでラッキーです。しかし、リヒャルト・シュトラウスは偉大な歌曲作曲家として、膨大な数の優れた歌曲を残しているのです。惚れ惚れするような良い曲がたくさんあるのです。
バスバリトンの私には少々向きませんが、もしも私がテノールかハイバリトンだったら、ぜひ独唱してみたい曲が目白押しです。
その中でも一番おいしいところを抜粋して、福永陽一郎先生が編曲した男声合唱版を、慶應ワグネルは畑中良輔先生の指揮で3回取り上げています。
畑中先生は「《合唱を通じて世界の音楽に眼をひらいてほしい》というのが、ワグネルに対する私の基本姿勢である」と仰っていました。私たちは間違いなく、畑中先生から「リヒャルト・シュトラウスの歌曲」という芳醇な世界にパッチリと目をひらかされたのです。このような導きをいただいたことには感謝の気持ちで一杯なのです。
まだ「リヒャルト・シュトラウスの歌曲を聴いたことがない」という方、なんともったいない!せめて慶應ワグネルの演奏をお聴きになってお楽しみください。
3回の演奏とも甲乙つけがたく、曲目もそれぞれで若干異なるので、3回ともリンクを貼り付けておきます。
第97回定期演奏会
第115回定期演奏会
第124回定期演奏会
ワセグリの方に、編曲者である福永陽一郎先生自らが指揮したワセグリの演奏をご紹介いただきました。この曲目が当初福永先生が編曲したオリジナルのようです。これもリヒャルト・シュトラウスの妖艶な世界に浸れる名演奏です。