参議院選挙で文化政策を公約にする政党・候補者はいないのか(Echotamaのブログ)

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参議院選挙が近くなって、様々な政党のチラシがポストに投函されるようになってきました。しかしどこの政党も文化政策を争点にはしていません。まあ当然と言えば当然です。初台の新国立劇場を含め七つの舞台芸術施設(国立劇場、国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場、新国立劇場、国立劇場おきなわ)を運営している独立行政法人日本芸術文化振興会への国の運営費交付金は約100億円しかありません。戦闘機1機も買えない金額。あとは入場料や赤字事業(伝統芸能の維持等)の穴埋めの補助金。

写真は新国立劇場

しかも支出をみると、伝統芸能の維持費のほかは、大半は公演等委託費、人件費などに消えている。職員は350人もいます。なーんだ、要するに委託のトンネル組織の運営と、人を雇うのが仕事ということではありませんか。ちなみに新国立劇場では委託先も公益財団法人新国立劇場運営財団という特殊法人で、またその先の委託先があるのです。血税と入場料で、そのひとたちの給料を払ってあげているようなものです。

1件の委託にも、ヒラ職員から係長、課長補佐、調査役、課長、部長など、文書をいちいち説明して回していくのでしょう。仕事を右から左に動かすのが仕事で、350人の中で劇場の実務をやっている職員は何人いることやら。しかも、おそらくその大半は縁故採用か、文科省からの出向か、天下りの中堅幹部でしょう。当然ながらトップの理事長は元文科省審議官(ナンバー2)。偉いセンセー方に「ご説明」するにはそれなりのバックがないと。

ただ、三流官庁(元事務次官の前川氏が自ら言ってます。まあ東大関係者の方なら常識でしょうが)の文部科学省では、スポーツなら国威発揚になって、動くお金も大きいですが、文化では動くお金が少ない。100億円なんて予算100兆円の1万分の1、0.01%。すなわち利権がありません。三流の中のさらに傍流。センセー方の力の入れ方も当然違ってくるでしょう。

ウィーンでは第二次大戦後、崩れ落ちた国立歌劇場の屋根をまず元通りにすることから復興を始めました。ドイツでは中規模以上の都市には必ず歌劇場があり、歌手やオーケストラやバレエダンサーの身分はフリーランスではなく、れっきとした公務員です。年金も健康保険も出ます。市民がそのようにすることを望み、市民を代表する議員たちがそれを実行しているのです。つまり、そうしない日本人は、文化に重きを置いていないということですね。有権者が望まないことを議員がするわけがありません。

私なら、もしも「舞台芸術文化を守るため、コロナで悩んでいるフリーランスの音楽家・舞踊家・演劇関係者への臨時特別給付を行ないます」とか、「国民の血税をより効率的に文化振興に寄与させるために、天下り先の特殊法人は整理・廃止して、純粋な民間団体への補助金事業に切り替えます」とか、「補助金の額は現在の10倍を基本額にします」とか、公約にしてくれる政党、候補者がいたら、ぜひ投票したいと思います。