スヴャトスラフ・リヒテルの名伴奏(Echotamaのブログ)

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 フーゴ・ヴォルフの生誕150年を祝う上で、欠かせない歌手がエリーザベト・シュヴァルツコップとディートリヒ・フィッシャー=ディースカウであることは言を俟たないでしょうが、加えて名伴奏者についても紹介は欠かせません。中でも、スヴャトスラフ・リヒテルが伴奏をしている盤は、ピアノファンにもぜひ聴いていただきたいのです。

スヴャトスラフ・リヒテル

 私が学生時代から現在に至るまで、何人ものピアニストの方々と一緒に練習してきましたが、独奏ピアニストと伴奏ピアニストは全く別物だというのが実感です。中には合唱を置いてきぼりにして一人で弾いてしまい、合唱が合わないことを非難して怒り出すピアニストの方もいました(もちろん合唱側にも問題はあるのですが)。

 超一流の伴奏ピアニストの一人としてすぐ思い浮かぶのははジェラルド・ムーア(中でもヴォルフのイタリア歌曲集の伴奏は世界遺産級だと思っています)ですが、ムーアのように伴奏ピアニストはほぼ専業にならざるを得ないスキルが必要なのでしょう。

ジェラルド・ムーア

 しかしながらリヒテルがフィッシャー=ディースカウと共演したライヴを聴くと、リヒテルは伴奏者としても超一流であったということに異論を唱える人はいないのではないでしょうか。リヒテルにはコレペティートルの経験があるそうですが、なるほどと頷けるところです。

 中でもメーリケ歌曲集のライヴはムーア伴奏版とリヒテル伴奏版がほとんど同じ曲で出ていますので、あくまで歌手とのアンサンブルを重視するムーアと、歌手と火花を散らして新たなアマルガムを作ろうとするリヒテルの違いがきわめて鮮明です。いずれも甲乙つけがたく、すばらしい名演奏です。