トラス構造の美(Echotamaのブログ)

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NTT中央研修センタ講堂の内部。
2014年 第9回日本構造デザイン賞 松井源吾特別賞|内田 祥哉 (jsdclub.jp)のページからお借りしました。撮影:井上玄

先日、妻と、私の中学生時代の授業態度がいかにひどかったかという話題になりました。以前にも書きましたが、午後は視聴覚委員で昼の放送(私の中学校は毎日自主企画のTV放送をしていたのです!)をしていたのをよいことに、6時間目が終わるまで給食を食べていました。午前中は、一時私は「トラス構造」という構造形式に取りつかれていました。トラス構造とは三角形を基本とした形をしており、鉄塔とか鉄橋とかでよく見ますし、段ボールもトラス構造です。最も少ない材料で最も強い構造を実現すると、そこには自然と「美」が宿るという信念が私を突き動かしたのです。

細い角材を買ってボンドで留めてタワーを作り、それを机から落とします。壊れたときは筋交いを足し、壊れなかったときは筋交いの位置を変え、材料の量を減らす。構造計算などできませんから、試行錯誤で「最も少ない材料で最も強い構造」を目指していくのです。(授業中にずっとこんなことをしていて申し訳ありませんでした。担任の北村和久先生が、すべて自分預かりで守っていてくれたのです)

しかし、鉄塔であれば、NTT局舎の上にあるように、直立型でいえばかなり材料の密度が高くなってしまいます。また、少ない材料でいえば、東京タワーのような末広がり、構造上の言葉で言えばアーチを組み合わせたものとなってしまいます。純粋なトラスで「最も少ない材料で最も強い構造」を生み出すことは不可能なのか。「美」を表現することは不可能なのか。私の信念は揺らいだままとなってしまっていました。

しかし、私は入社式の時、目を見張りました。NTT中央研修センタ講堂の天井が「見よ」とばかりにトラス構造がむき出しになっている。なんて美しい。しかも、ミース・ファン・デア・ローエがラーメン構造(二郎じゃありませんよ)で実現した大空間がトラス構造だけで実現されている。これぞ、トラス構造を極めた最も論理的な「美」の世界ではないのか!必要最大限かつ最小限。まるでモーツァルトの音楽のようではありませんか。

あらためて誰の設計か確認してみました。内田祥哉(うちだ・よしちか)さん。遅かった……今年の5月3日にお亡くなりになっていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E7%94%B0%E7%A5%A5%E5%93%89
日本構造デザイン賞・松井源吾特別賞の選考評から、印象深い言葉を一つ引用します。
「デザインとエンジニアリングの垣根を、デザインの側からというよりも、よりユニバーサルな立ち位置から取り払い、建築家と構造家、さらには施工者が同じテーブルで議論することを実践されてきた」
http://www.jsdclub.jp/Award_2014_3.html
あらためてご冥福をお祈りいたします。