才能の鼻血ブー 実相寺昭雄/武智鉄二/勅使河原宏(Echotamaのブログ)

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たまたまオペラ演出家のことを調べていて、Wikipediaで実相寺昭雄を見てみました。我々の世代には懐かしいウルトラシリーズの監督ですが、オペラの演出も多数手がけています。

そうしたら「オペラ演出も再三手掛ける映画監督としても日本で唯一」と書いてある。うそこけ(信州弁)。武智鉄二だって勅使河原宏だっているじゃないですか。

武智鉄二

武智鉄二は京都帝国大学卒業後、演劇界に足を踏み入れ、評論から演出に進出。「武智歌舞伎」や新たな能や文楽を編み出し、映画監督としては武智プロを立ち上げ、わいせつ裁判の被告になったりしています。オペラに関しては特に日本の創作オペラに数多く注力していますが、まだ昭和32年になんと甲子園球場で「アイーダ」を上演(現在でも武智が唯一)したりなど、とにかく多才でスケールが大きい。才能が枠に収まりきれなくて鼻血と一緒にブーッと溢れ出てきています。ちなみに武智の母は芸者さんです。日本の伝統文化への理解の深さのルーツはそこにあるのでしょう。

勅使河原宏

勅使河原宏は華道の草月流の家元として知られていますが、この人もきわめて多才で鼻血ブーです。華道に収まりきれず前衛美術から映画監督、陶芸、舞台、オペラ、書から庭園設計まで。総合芸術家と言ったほうがふさわしいかもしれません。

勅使河原が監督した映画「砂の女」を学生時代にテレビで視た時の衝撃は今でも忘れられません。原作:安部公房、音楽:武満徹、撮影:瀬川浩、デザイン:粟津潔。全員鼻血ブー。天才という言葉が陳腐に思えるほど。あまりの才能の巨大さと引力はまるでブラックホールです。アインシュタインによればブラックホールの周りでは時空がゆがんで全てのものがぺしゃんこになるそうですが、これをテレビでなくてシネマスクリーンで見ていたら、ぺしゃんこどころかどうなっていたか。あしたのジョーのように真っ白になって消えてしまったかも。

砂の女

武智鉄二が亡くなって30余年、勅使河原宏が亡くなって約20年。今、これだけの溢れだす才能を持った人がいるでしょうか。彼らの才能を評価し記憶できているでしょうか。この遺産を引き継げているでしょうか。

慶應ワグネルも、私が直接ご指導いただいていない木下保先生も、録音を聴いただけで鼻血ブーです(失礼)。

畑中良輔先生も鼻血ブーでした(再び失礼)。

私たちワグネリアンは巨大な才能の片鱗を知っています。だからこそ私たちは未来の文化の発展のためにあらゆる才能を評価し、次代に引き継ぐ使命を負っている。そう思えてならないのです。