慶應義塾塾歌(Echotamaのブログ)

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 慶應ワグネルのYouTubeチャンネルでは、各代の定期演奏会の演奏は慶應義塾塾歌で始まります。その中で、塾歌の演奏は3種類の編曲があります。(①86~87回、②88回~105回、③106回以降)

 第106回定期演奏会において、塾歌は木下保先生直伝によるご指導となりました。その際の木下先生の塾歌への思いについては、第106回定演のパンフレットに木下先生が自らお書きになっている文章があるので、それを引用します。

 「第106回定演と私の寓話」

(前略)神宮の野球場やスポーツ関係の応援歌、あるいは祝歌としての塾歌は別として、演奏会の始めにエールを聴かされた際は、嫌気がさしたり、音楽仲間として恥じたり、怒りにさえ感じることが常でした。
 ところが今年の8月2日、東西四大学OBの会に私が初めて慶應のOB[筆者注: 木下先生が慶應義塾から「名誉塾員」の称号を授与されたことを指す]として(私より年上のメンバーが居るにも拘らず)塾歌の指揮をすることになって、責任上初めて現役から塾歌の楽譜を頂いて驚いたのです。
 耳から聴いただけでも信時音楽のフレージングではないと言う確信はあったが、意味が間違って歌われて居るのには全く愕然ととした次第であったのです。
 誇り高き光輝ある校風の中の福澤魂プラス信時魂は、単なる運動時の応援歌としてしか歌われて居なかったのです。
 せめてOBだけにでも、本当の慶應義塾の誇りを誇りとして歌い上げたいと念願して、短時間の練習だったが、正しい塾歌を歌い上げることが出来たのです。
 この信念が現役にまで通じることを思念して、此度の寓話をメッセージと致しました。(後略)

信時潔先生

 信時音楽の第一人者の木下先生が、これほどまでの強い信念をもって演奏されたのは、作曲者の信時潔先生自身が男声四部合唱として作曲した「正譜」でした。なぜ「正譜」があったのに他の編曲が少なくても2種類存在し、演奏されてきたのか不明ですが、木下先生直伝の塾歌は、信時音楽の最高峰の一つとして甦ったのです。この塾歌が再び廃れることがないことを祈ります。優れたものが埋もれ廃れることは、決してあってはならないのです。

 図らずも木下先生にとってこの年は最後の定演となってしまいましたが、木下先生は信時音楽としての慶應義塾塾歌の復活という大きな遺産も残して下さったのです。