iPhone SE(第3世代)が発売(Echotamaのブログ)

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少し情報が遅れました。3月18日にAppleのiPhone SE(第3世代)が発売になりました。

(しつこいですが、私はNTTグループの社員ではありますが自社情報は秘匿しております。また、現在は接続情報に触れる立場ではありません。過去の接続情報に関しては守秘義務を厳守しております。以下の記述は全て公のニュースから拾った情報をもとにしています。)

iPhone13の廉価版と言う位置づけでしょう。サイズが小さいのはもちろんですが、最大の特徴は「5G対応」とは言ってもミリ波(28GHz)に対応していないことです。ミリ波対応必須のVerizonがいるアメリカでもミリ波非対応としたということですので、製造コストとサイズ減にあたり「ミリ波は不要」とApple経営陣が判断したのは明らかです。Sub-6(3~4GHz)で4Gと使用周波数が大して違わないので、加入者が増えてくれば4G並みの速度に落ちていきます。それまでの「つなぎ」の機種として十分勝負になるという読みでしょう。まあ、高速を必須とするキラーコンテンツはまだありませんし、アメリカでの競争相手はプラチナバンド(600MHz)のT-Mobileでエリアは広くても通信速度は圧倒的にプアですから、最近はVerizonも方針を変えたらしく、Sub-6(3~4GHz)を併用してエリアを広げようとしているようです。日本でも、二重投資をできる限り避けたい楽天がミリ波に手を出さざるを得なくなっていますが、他のキャリアは既存のSub-6で十分勝負になっているので、当面はiPhone SE3は売れるでしょうね。

https://www.docomo.ne.jp/iphone/se_3rd/?icid=CRP_IPH_to_CRP_IPH_se_3rd

ただし気になっているのはVerizonの方針です。最近はT-Mobileとの競争も視野においたようですが、彼らの基本戦略は既存の固定ブロードバンドユーザを取り込むことに主眼があると私は睨んでいます。アメリカでは固定ブロードバンドユーザの大半はCATVですから、インフラは同軸ケーブルで、速度はせいぜい数十メガです。光回線の普及率からみて、Verizonの基地局回線も同軸を多く利用していて、4Gでは速度と安定度は日本よりもかなり劣っていると推測しています。しかしVerizonは5Gでは基地局回線もローカル5Gにしてミリ波を使っています。CATVよりも圧倒的に早い通信速度を目指したに違いありません。

日本での固定ブロードバンドユーザは大半が光回線になってきましたので、アメリカほど簡単に5Gへの取り込みを目論むことはできないとは思います。しかしミリ波のフル5Gが普及したらどうでしょうか。速度は固定の光回線と遜色がありません。法人ユーザでもローカル5Gを利用してパブリックの5Gとハンドオーバー(通信の引継ぎ)ができるようになれば、一気に5Gへ流れていくかもしれません。しかも5Gにはネットワークスライシングという技術があります。ソフトウェアでネットワークを操作して、お客様ごとにヴァーチャルなネットワークをカスタマイズしていくことが可能です。固定から移動へというのは通信の大きな流れではありますが、ブロードバンドのIcTの市場環境が根底から、しかも予想外に早く流れが変わってしまう可能性はあると私は考えています。もしそうなれば、現状の既存の光回線のインフラや、ハード中心のビジネスモデルは急激に大きな変革を迫られることになるでしょう。

ミリ波非対応のiPhone SE3が売り出されるなかですから、モラトリアムはあるでしょう。しかし、将来の私(もう残り少ないけど)や後輩たちの給料は誰が払ってくれることになるの?そんなことを考える今日この頃です。