慶應ワグネル・ブラームス『Liebeslieder(愛の歌)』第38回東西四大学合唱演奏会・第114回定期演奏会(1989年)(Echotamaのブログ)

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慶應ワグネルの十八番であるドイツ語の名演奏です。東西四連の際には若干気合が空回りしていたきらいがありますが、定期演奏会の際には肩の力が抜けて、素晴らしい出来栄えとなっています。おそらくこれも学生指揮者の築島繁君の力量による成果で、日々の基礎練習からみっちりと積み上げられたものでしょう。

ぜひ聴いていただきたいのは炸裂する「舞台ドイツ語」です。ドイツの声楽曲がいかに言葉と音楽が密接に結びついているのか。カタカナやローマ字読みのドイツ語とは全く違います。その大きな違いをぜひわかっていただきたいのです。それが一糸乱れず胸に迫ってきます。一聴すれば、「ドイツ語ってこんなにきれいな言葉だったんだ!」と感服されること間違いなしです。

しかも声も気持ちよく、各パートが良くそろって、ある時は激しく、ある時はとろけるような和音が鳴っています。指揮の畑中良輔先生の真骨頂です。

現在は日本人の作曲家の現代曲を取り上げられる団体が多く、その傾向がより強くなっているように思います。団員の方も「日本の合唱曲を歌いたい」という意思を持っている方が多いように感じます。日本人の作曲家の現代曲も決して悪くありませんし、日本の音楽界の発展のために必要なことだと思います。しかし時にはブラームスのような世界的・歴史的な巨匠の作品に触れることで、一層世界の音楽に目が開かれ、裾野が広がっていくように思います。例えば『Liebeslieder(愛の歌)』を足掛かりに、ブラームスの歌曲にも目を向けてみるとか、『ドイツ・レクイエム』に挑戦してみるとか、広がりは無限大です。

まずはぜひこの演奏をぜひ聴いてみてください。