慶應ワグネル第131回定期演奏会(2006年)(Echotamaのブログ)

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「昔の慶應ワグネルは良かった」時々聞かされる言葉です。確かに昔は100人の圧巻の演奏を聴かせており、名演奏も多数あります。しかしながら第124回定期演奏会(1999年)以降の急速な団員減少によって、大合唱を期待してこられたお客様にとっては物足りない思いをさせてしまったことがあったのは事実でしょう。とりわけ第131回定期演奏会(2006年)の4年生はわずかに4名で、全員でも30余名。上級生ステージはわずか20数名という、消滅の危機も感じた最も苦しい時期でした。

当時の演奏を聴いてみます。正直、傷がないわけではありません。しかしながら、踏まれて強く育つ麦のように、ワグネルは新たな歩みを始めたのです。

最終第4ステージは畑中良輔先生の依頼で作曲者荻久保和明先生が自ら指揮する『しゅうりりえんえん(男声版初演)』。この難曲を、底までさらってさらって歌い尽くしています。練習にはよほどの困難が伴ったことでしょう。よくぞここまで頑張った。畑中先生はおっしゃっていました。本番だけ良ければいいというものではない、日々の練習の中にこそ真実があるのだと。歌っている団員たちの日々の努力と奮闘が伝わってきて、感動的なステージとなりました。

慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 第131回定期演奏会パンフレット

畑中良輔先生は第3ステージで、多田武彦先生作曲の男声合唱のスタンダードである『富士山』。しかし、畑中先生が『富士山』を指揮するのはこれが初めてです。ネタバレになりますが、楽譜の指示が大幅に変更され、畑中先生の大胆な解釈が加わった演奏になっています。畑中先生は「多田さんにオコラレルかな?」とおどけていました。『富士山』のファンの方はたぶん驚かれると思いますが、「畑中版『富士山』」がどんな演奏かは聴いてのお楽しみです。

https://www.youtube.com/watch?v=legLyzOVic0&list=PLlgfOdDxzrCbKpbgY23ajNfH-ivacYw5H&index=10

ここで生まれ変わった慶應ワグネルは、クレッシェンドあるのみで、毎年進化を続けています。昨今もコロナという新たな難敵に立ち向かい、定期演奏会は毎年途切れることなく開催され、さきの1月に第146回定期演奏会が開催されたのは先日レポートしたとおりです。50名の筋肉質な演奏で、100名の時とは質が違う、素晴らしいステージを繰り広げてくれました。

「昔の慶應ワグネルは良かった」けれど「昨今の慶應ワグネルも素晴らしい!」OBとしての贔屓目もありますが、日々クレッシェンドする現役諸君に拍手を送りたいと思います。